2025年8月27日、BITWIG社は、Bitwig Studio 6 を発表いたしました。
入手方法
現在、Bitwig Studio 6はベータテスト段階に入っています。ぜひご参加ください。Bitwig Studio、Bitwig Studio Producer、Bitwig Studio Essentialsのライセンスをお持ちで、有効なアップグレードプランがある方は、ユーザープロファイル内にベータインストーラーが表示されます。正式リリースはこの秋を予定しています。いつものように、このアップグレードは2025年8月27日時点で有効なアップグレードプランを持つすべてのユーザーに無償提供されます。
次のレベルへ
Bitwig Studio 6は大きな進化を遂げ、日々使用するDAWの中核機能を改善・拡張しました。このメジャーアップデートは、馴染みのある操作感を保ちながら、新しくスピーディな制作方法をもたらします。見た瞬間に違いに気づくでしょう。Bitwig Studioの外観は改善され、ビジュアルインターフェースはニーズに合わせて調整しやすくなりました。内部的にも大小さまざまな改良が数多く施されています。
注目すべきは、オートメーション編集の大幅なアップグレードです。スムーズな操作性に加え、「spread(スプレッド)」「hold(ホールド)」といった新しい表現方法をサポート。さらに、オートメーションをクリップとしても扱えるようになり、Bitwig Studioの特徴である直感的な操作が創造性を拡張します。
クリップエイリアスは、音楽における反復や構造を扱う新しい方法を提供します。また、プロジェクト全体のキーシグネチャー機能により、ノート編集作業を音楽的に導いてくれます。「スプレー缶」や「オーディションツール」といった新しいツールや、細部を仕上げるための強化された表現編集、大規模編集に適したレイヤー機能も追加されました。これらすべてが、Bitwig Studio 6を音楽制作におけるより強力で使いやすい環境へと進化させています。
さらに強力になったオートメーション編集
Bitwig Studio 6では、オートメーション編集が大幅に強化されました。まずはカーブにアクセスする新しい2つの方法から始まります。[A]キーで「オートメーションモード」に切り替えると、各トラックに最後に触れたパラメータ、または任意のレーンを重ねて表示できます。あるいは「詳細エディターパネル」に進めば、そのトラックに存在するすべてのオートメーションへアクセス可能です。これらのオルタナティブなエディターを利用すれば、アレンジャーをすっきり保ちながら、トラック同士の関係を新しい視点で確認できます。
操作ジェスチャーにより、編集はさらに速く統一的になりました。線上をクリックすれば従来通り新しいポイントを描けますが、線の近くをクリックすると、上下に素早く移動できます。クリック前に、どの部分のカーブが操作対象かインターフェースがきれいにハイライト表示します。オートメーションポイントは自由に他のポイントを越えてドラッグし、上書き可能です。ある区間のオートメーション全体を上下に動かしたい場合は、タイム選択を行ってドラッグするだけで、両端のポイントには影響しません。
新しいオートメーション編集も追加され、可能性が広がります。オペレーターがノートに生命感を与えるのと同様に、新しい「spread(スプレッド)」機能はオートメーションに変化を加えます。適用すると、ポイントは毎回ランダムな範囲の値を出します。また、ポイントには「hold(ホールド)」挙動を持たせることができ、次のポイントに到達するまで一定値を維持します。さらに、セグメントの曲率(カーブ)はインスペクターで制御できるようになりました。
ツールの改良もオートメーションを滑らかにします。ペンシルツールでフリーハンド描画すると、改良されたアルゴリズムがジェスチャーをシンプルで滑らかなカーブに変換し、後から編集しやすくします。さらに新しいスプレー缶ツールは、現在のグリッド間隔に沿って固定ポイントを連続して描画します。これはまさにテクノ向けの機能です。
オートメーションクリップの導入
オートメーションはオーディオやノートと同じくらい重要であり、Bitwigはついにそれを同等に扱います。オートメーションをクリップとして扱うのは直感的です。既存のクリップ機能はすべて使えます。ループ設定、独立した開始位置、クリップ内容のスライド、オートメーションクリップのストレッチ、クリップエイリアスの利用など、あらゆる操作が可能です。
従来のやり方が好きな方も安心してください。トラックオートメーションはすべて新しい編集改善と共に使え、両者の切り替えも簡単です。親のノート/オーディオクリップを微調整すれば、その下のオートメーションクリップもシームレスに追従します。ただし、直接編集すれば独立した新しいものにできます。気に入ったオートメーションクリップはライブラリーに保存して再利用可能です。
オートメーションクリップは、タイムラインにおいてBitwigのBWCURVEデバイスがインストゥルメントやエフェクトにもたらすものと同等です。したがってブラウザにはオートメーションクリップとBWCURVEファイルが並びます。さらに、オートメーションクリップをデバイスにドラッグすると、そのシェイプをSegments MSEGにロードできます。すべての道はカーブに通じます。
クリップエイリアス:繰り返しの作業を効率化
Bitwig Studio 6の新機能「クリップエイリアス」は、音楽における構造やシーケンスを作り出す方法です。トラック上でクリップを複製する代わりに、エイリアスとしてドラッグして配置できます。これにより、クリップは共通の“指紋”、すなわち「パターン」を共有します。どれか1つを編集すれば、そのパターンを共有するすべてのクリップが更新され、その他の設定は変更されません。
クリップエイリアスはオーディオ、ノート、オートメーションクリップのすべてで利用でき、Clip LauncherとArrangerの両方で使用可能です。ワークフローに自然に溶け込みます。従来のコピー&ペーストが好きな方も、後から同一クリップをエイリアスとしてリンクできます。Merge Duplicate Patterns(重複パターンを統合)機能を使えばよいのです。既存プロジェクトを整理する際にも便利です。そして、あるエイリアスを独立させたいときは、Make Unique(ユニーク化)で他と切り離すことができます。
テンポや拍子と並んで、プロジェクトには「キーシグネチャー」が追加され、ノート作業を導きます。ピアノロールではスケールを視覚的に確認でき、[K]で「キーにスナップ」して編集操作を常に調和的に行えます。ペンシルツールや新しいスプレー缶ツールと組み合わせれば、常にキーに沿った高速な作曲が可能です。また「Quantize to Key」機能を使えば、既存のノートやクリップを選択したスケールに合わせて修正できます。
キーシグネチャーでノート入力をガイド
キーシグネチャーはノートの選択を助けるだけでなく、ノートFXを制御することも可能です。アルペジエーターを含む6つのノートシフト系デバイスは「Use Global Key(グローバルキーを使用)」オプションを備え、プロジェクト全体の和声的変化を追従します。そのため、オートメーションやプロジェクトリモートコントロール、モジュレーターでキーを変更すると、ノートFXも自然に追随します。

より洗練されたUIでスムーズなワークフローを実現
ソフトウェアを開いた瞬間に気づくでしょう。Bitwig Studio 6の外観は刷新されました。インターフェースはより滑らかにナビゲートでき、ニーズに合わせてカスタマイズしやすくなっています。
まず、編集ツールはインターフェース右側にパレットとして並べられるようになりました。各エディターの右下にある「Editor Settings」メニューからグリッドの表示方法を調整できます。さらにBitwigウィンドウ上部を右クリックすると、プロジェクト全体のビジュアルコントロールに素早くアクセス可能です。
トラックヘッダーはリサイズ時により動的になりました。小さく縮めることもでき、スペースが十分な場合は追加コントロールを表示します。これは新しいアレンジャー自動ズームオプションと相性が良く、選択中のトラックやレーンを大きくしつつ、他はそのまま維持します。さらに、2つのシーケンサーも磨きがかかりました。Clip Launcherでは各トラックのクリップ位置やループ回数が表示され、アレンジャー内のクリップでは背後にビートグリッドが見えるようになっています。
さらに使いやすくなったエディター機能
Bitwig Studio 6のエディターは、細部から全体像まで、より多くを見て扱えるようになりました。表現編集(Expression Editing)は細部を仕上げるためのより強力な手段になっています。従来のマイクロピッチカーブに加え、ゲインやプレッシャー、その他の表現もノートやオーディオ上で直接編集可能になりました。すべての表現は折りたたみ式のドラム/ハイブリッドエディターでも利用できます。さらに、このアップデートで追加されたオートメーション操作も適用されています。
オーバービューが必要ですか? 強化されたレイヤー編集により、これまで以上に簡単になりました。複数のクリップを同時に編集するには、それらを選択するだけです。「詳細エディターパネル」やフルスクリーンの「Edit View」は、選択内容に応じて変化し、ノートとオーディオレーンを並べて表示することもできます。シーンやキューマーカーを選択すれば、関連する素材をすべて一度にレイヤービューで確認できます。
その他、あれこれ
Bitwig Studio 6には、大小さまざまな改良がさらに多数盛り込まれています。スプレー缶ツール(一定間隔でノートを描く)に加えて、新しいオーディションツールにより任意のトラックやクリップを直接プレビュー可能です。ノート入力には新しいステップ入力ツールが追加され、迅速かつ直感的に入力でき、複数ノートの同時入力にも対応しています。
ノートやクリップを描画する際には、ペンシルツールやスプレー缶ツールでクリック前にプレビュー表示がされます。ピアノロールエディターでは、従来の「ピアノパターン」を背景に表示できるほか、新しい「Adapt to Key」表示でカラフルにキーに適応させることもできます。さらに、生成的パッチングを好む方のために、新しいGridモジュールが4つ追加されました。スケールに基づいたクオンタイズ、ステップごとのシフト、グローバルルートキーへのアクセス、あるいはPitch Classを使って独自に選択することが可能です。
最後に、新しいセーフティ機能により、新バージョンを試す際にも安心が得られます。以前のバージョンで作成したプロジェクトを開くと、元のプロジェクトファイルが永久保存されるため、必要なときにはいつでも戻れます。