第4回:Omnisphereの各ページを深掘りする(その3:LAYERページ後編)
前回に引き続きLAYERページの解説です。フィルターセクション、エンベロープセクションなど残りの部分を深掘っていきたいと思います。
LAYERページの各セクションを更に深掘りする
それではフィルターセクションを見ていきましょう。
Omnisphereには2系統のフィルターが装備されており、シリアル接続、パラレル接続で使用可能ですがメインのGUIではフィルター全体の設定を行うパラメーターのみですので、詳細な設定を行うためにはZOOMページを開きましょう。
図12:フィルターのZOOMページを表示させた状態。
中央部分のパラメーターは全体の設定を行うためのパラメーターとなっており、それぞれのフィルターの設定を行う際には左右に配置されているFILTER 1と2で行います。
Omnisphere独自のユニークな機能としてVARIANTというパラメーターが用意されています。
図13:黄色の枠線で囲んだ部分がVARIANTを設定する部分。左右のスライダーは各フィルターごとのVARIANTを設定し、中央のノブでレイヤー全体の設定を調整する。
Omnisphereのフィルターはステレオ仕様となっていることから、多くのフィルタータイプでフィルターを左チャンネルでは開いて、右チャンネルでは閉じる、というようなことができます。このVARIANTに各種モジュレーションを利用して変調をかけることでサウンドにユニークなパンニング効果を付加することが可能です。
ちなみにVARIANTの動作が以下のフィルタータイプでは異なる点に注意しましょう。
- パワーフィルタータイプ:VARIANTはCUTOFF幅をコントロールします。
- レゾネーター +/-:VARIANTはフィルターのトーンをコントロールします。
エンベロープセクションではアンプ、フィルター、モジュレーションそれぞれのエンベロープ設定が行えます。
メインGUI上ではシンプルなADSR型のエンベロープによるエディットが行えますが、それ以上の複雑な設定を行う際にはZOOMページを表示させて行います。
図14:エンベロープのZOOMページを表示させた状態。黄色の枠線で囲んだ部分で各セクションのエンベロープが設定可能。
ZOOMページではレイヤー全体のアンプ、フィルターのエンベロープ、MOD 1から4はモジュレーション用のエンベロープが設定できますが、各エンベロープとも設定パラメーターは同じです。
エンベロープの設定ポイントを増やしたい場合には表示されているエンベロープの線上の任意の部分でダブルクリックし、逆に減らしたい場合には任意の点をクリックします。
図15:図中の黄色の枠線で囲んだ部分の位置にマウスのカーソルを合わせ、ダブルクリックしてエンベロープのポイントを設定している状態。
または任意の部分で右クリック(Windowsの場合)するとコンテクストメニューが表示され、Addで追加、Removeで削除が行える他、カープの設定などもできます。
図16:図中の黄色の枠線で囲んだ部分の位置にマウスのカーソルを合わせ、右クリックしてコンテクストメニューを表示させた状態。
エンベロープセクションには、エンベロープの形がランダム化するためのCHAOSボタンが用意されています。ボタンの右側にあるCURVESとLEVELSスライダーでランダム化の確率が設定できます。また、AUTOボタンを有効にすると、エンベロープのサイクルごとにLEVELSとCURVESの設定が再ランダム化されます。例えばエンベロープサイクルが2秒間続く場合だと、2秒ごとにLEVELSとCURVESの確率スライダーの設定に従ってエンベロープのシェイプが変化します。
モジュレーションセクションでは、レイヤー上で行う様々なモジュレーションを設定します。 Omnisphereでは、コントロールしたいパラメーター上で右クリックしてドロップダウンメニューからモジュレーションソースを選択するだけで設定できます。
図18:図はフィルターのカットオフをLFOで変調する場合の設定例。
設定したすべてのモジュレーションルーティングの詳細な設定を行う際にはMOD MATRIX ZOOMビューを表示させて行うと良いでしょう。
図19:MOD MATRIX ZOOMビューを表示させた状態。
LFOセクションでは8基のLFOの設定を個別に行うセクションです。各LFOの設定を行う場合は、1から8の数字ボタンを押すことで設定したいLFOを選択できます。
図20:LFOセクションの全体。黄色の枠線で囲んだ部分で設定を行いたいLFOを選択する。
セクション名の左側にある▽ボタンをクリックして表示されるメニューにはLFO効果のプリセットも用意されており、いずれも独特なLFO効果を付加することができます。
図21:図中の黄色の枠線で囲んだ部分は、セクション名の左側にある▽ボタンの位置と表示されるメニューに用意されているプリセットのリストとなっている。
LAYERページはOmnisphereのサウンドメイクの核となる部分だけに抑えておきたいポイントが盛りだくさんあります。実際にパラメーターを動かしながらチェックしてみることをオススメします。