DAWソフトで作曲を行う場合、人によって様々な方法や手順があると思います。
すべてをオーディオのレコーディングで完結する場合もあれば、インストゥルメントトラックでMIDIのレコーディングのみを行うという場合もあるでしょうし、ドラムやベースはMIDIでギターや歌はオーディオのレコーディングというような、オーティオとMIDI両方を使用するということも多いかも知れません。
作曲を行ったあとで、特にファイルの移動などをしない場合には何も気にする必要はないのですが、例えばバンドやユニット、または自分のデスクトップとノートにインストールしたBITWIG STUDIO間でプロジェクトファイル移動を行う場合、セーブする際に予め気にしておくことがあります。
今回はそんなちょっとしたお話しです。
プロジェクトファイルを別の環境に移動したらファイルがなくなった!
BITWIG STUDIOは拡張子が『.bwproject』というファイルでプロジェクトを管理します。
プロジェクトというのは1曲単位のファイルのことで、BITWIG STUDIOでは複数のプロジェクトを同時に開いておくことができるので、例えば下の画像では3プロジェクト開いているということになりますね。
プロジェクトファイルというのは、プロジェクトの中でどのようなトラックがどのくらい使用されていて、どのようなノートが記録されているか、レコーディングしたオーディオファイルはどこに保存されていて、使用しているループ素材はどこに保存されていて、プラグインは何というメーカーの何というものが使用されていて…というような、『情報のみ』を記録しています。
ですので、ファイル自体は数百KBから大きくても数MB程度の割と小さなファイルが作成されます。
自分のコンピュータ内のみで管理している分にはこの仕組みは特に問題はないのですが、他のコンピュータにプロジェクトを移動して開こうと思った場合、『このコンピュータ内のどのフォルダにどのファイルがあって…』という情報は、別のコンピュータには存在しないファイルの場所を示すことになってしまいますね。
上の画像内の上の画像が元のプロジェクトで、別の環境にプロジェクトファイルのみを移動して開いた場合が上の画像の下の画像です。
クリップ内のオーディオの波形がなくなっていますね。
これはオーディオファイルがこの場所にこの長さのクリップの中にあるという情報は残っていて、実際に使用されたオーディオファイルが存在しないという状態になったために引き起こされています。
逆にインストゥルメントクリップ内のMIDIノートはプロジェクトファイルに含まれる情報なので残っていますが、BITWIG STUDIOに標準搭載のプラグイン以外のメーカー製プラグインが使用されている場合で、移動先のコンピュータに同じプラグインがインストールされていない場合は、もちろんロードすることができないので、別のプラグインをロードしなおすなどの対処が必要です。
プロジェクトで使用されているファイルを集めてセーブする
BITWIG STUDIOのFileメニューを開くと、セーブに関するメニューが4種類あります。
まずはSave。
通常の上書き保存です。
新規プロジェクトを作成して初回のみ保存場所を設定するためのフォルダが開くので、場所を指定して名称を設定後、セーブします。
以後FileメニューのSaveをクリック、またはショートカット(cmd/ctrl+S)を入力するたびに現在の最新の情報で上書きでセーブします。
次が今回の本題のCollect and Save…。
これはプロジェクト内で使用されているループ素材やレコーディングしたオーディオデータなどをまとめて保存するメニューです。
選択すると2つのオプションが表示されます。
Collect files outside the project folderとCollect files that belong to packagesの2種類です。
Collect files outside the project folderはデフォルトでチェックが入っていて、プロジェクトフォルダ外にあるファイルをまとめてプロジェクトフォルダにコピーする機能で、オーディオのミッシング(見つからない)状態を防ぎます。
Collect files that belong to packagesはパッケージマネージャに含まれるファイルを使用している場合に、そのファイルもプロジェクトフォルダにコピーするオプションです。
パッケージマネージャに含まれるファイルは無償提供されているものなので、チェックは外しておいて構わないと思いますが、まったく使用しないのでディスク容量節約のためにインストールしていないという場合もあるかも知れません。
この辺りは受け渡し先の環境と要相談で選択してください。
Collect files outside the project folderのみチェックを入れて作業を進めたあとで、パッケージマネージャに含まれるファイルを使用した場合も、あとからCollect and SaveのCollect files that belong to packagesにチェックを入れてセーブすることで、あとから増えたファイルとパッケージマネージャに含まれるファイルのみ追加してセーブし直します。
Collect and Saveを行った場合、指定した場所にフォルダが作成され、そのフォルダ内にプロジェクトファイルとSampleフォルダが作成されます。
このフォルダ内にプロジェクトで使用されているオーディオファイルの類がすべてコピーされているので、必ず大元のフォルダごと別の環境に移動してください。
残りのセーブメニューはSave asで別名保存、Save as Templateでテンプレートとして保存ですね。
プロジェクトテンプレートの保存方法については以前解説を行っているので合わせてご参照ください。
といったところで引き続き、BITWIG STUDIOで良い感じに音楽制作を楽しんでください!
それではまた次回!