日本全国的に雨模様ですね。こんな日は家で曲を作るといいでしょう。
ミックスするときに音にちょっとしたアイデアを加えるためのヒントにこのコラムが役立てばいいなぁと思いながら書かせていただいております。
今回もKR-Fatter STRを試してみようと思います。前回はエレピの音でしたが今回は、エレキギターに試してみようと思います。
バラードで拡がりのある音を作れたら嬉しいなぁと思い試してみますが、どんな効果が生まれるかちょっと楽しみです。
ギターのアルペジオにかけてみたらどうなるの?
WEBでKR-Fatter STRの概要を見ると、
- オーディオからピッチに関するバリエーションを生成
- ピッチのバリエーションのオートメーション
- ビブラートエフェクト
- 音の広がりを演出
って書いてあったので、もしかしてギターにも合ったりするんじゃないかと淡い期待を持ってやってみました。
使うトラックはこんな感じです。
ノンエフェクトで聴くとちょっとこっ恥ずかしい感じになりますね。
では、AUXトラックにKR-Fatterを立ち上げて、いわゆるセンド/リターンでエフェクトをかけてみましょう。
プリセット名ではギター向けではないのですが、もしかしたら合うかなぁ~と思って“074 Pad/Slow Synth”を選んでみました。ドライチャンネルをオフにし、ミックスを100%に変更したこと以外はそのままです。
音に艶が出て広がりましたね。前回も説明したようにKR-Fatter STRには、エフェクトチャンネルが4系統あり、それぞれにディレイやモジュレーション、ピッチシフトなどを設定することができます。独特な響きが得られるのはマルチチャンネルだからかもしれません。今回の設定を確認してみましょう。
この効果をもたらしたのは、各チャンネルでかかっているフェイズとチャンネル3のモジュレーション+ピッチシフト、チャンネル4のモジュレ―ションが肝の部分になるでしょう。チャンネル3と4をバイパスしてチャンネル1と2だけで聴いてみてください。
音の広がりは得られていますが、深みというか奥行きがなくなりましたね。こういった音はこれで使い道もありますが、壮大な感じのエフェクトにする場合にはモジュレーションとピッチシフトで得られる揺れが必要になるようです。わかりにくければ、先ほどのトラックと聞き比べてみてください。
ディレイタイムを変えてみる
各チャンネルのディレイタイムは10ms~24ms程度なので、これを調整してみましょう。
チャンネル3と4のディレイタイムを長めに設定してみました。さらに深いうねりのモジュレーションが得られるようになりましたね。
このままこれで完成でもいいのですが、せっかくなので、ショートディレイではなく、もう少し長めのものとリバーブを別途足してみましょう。そしてバランスをとったものがこれです。
コード感を広げ奥行きを出し、色気のある音になりましたね。これに近い音はコーラス+ピッチシフト+ディレイ+リバーブでも作れますが、KR-Fatterを使ったほうが独特な揺れ感があって美しいと思います。これは、ギターだけでなく、プリセット名にもなっているパッドやストリングスなど芳醇なサウンドを演出したいときにぴったりでしょう。
このエフェクト、もっと奥が深そうなので、次回以降もちょっと研究の余地ありですね。