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Spireでゼロからのサウンドメイク vol.29

前回に続き、ベル系音色作りにこだわってみましょう。

今回はEG、LFO周りの設定について解説したいと思います。

今回の作成音色を読み込んだメイン画面

<デモサウンド>

今回作成した音色のデモサウンドです。フレーズは下はC0から上はC8までのC音をシンプルに演奏させたものです。効果音的なサウンドを得るためにオシレータ3と4のピッチをLFOのS&Hで変調しているので、再生する度に異なる演奏になります。

EGはシンプルに

ベル音色の場合のEGの設定は、図を見て頂くとわかるようにかなりシンプルです。

EG設定。ENV 1はアンプ、ENV 2はフィルターを変調するための設定となっている。

基本的に減衰音系の設定は、アンプに対するディケイとリリースがポイントとなりますが、どちらも短くし過ぎるとベルというよりパーカッション的な音色になります。また、リリースを長くし過ぎてもフレーズを弾いた際にサウンドが濁ってしまう場合もあったり、テンポによってはフレーズが重なり過ぎて不明瞭になることもあるなど、リリースの長さにも十分気を配るようにすると良いでしょう。

尚、フィルター変化のEGはアタック感や音色変化に大きく作用します。オルガンのパーカッション音のようなアタック感を加える際にはディケイを短くし、カットオフを調整することで得られます。

一味違うベル音色にするポイント

今回はどちらかというと音程感が希薄で効果音的なベル音色を作成するということで作成を進めていますが、ここでマトリックス機能を使用してオシレータのパラメータを変調して一味違った演出をしてみましょう。

LFOの設定状態。ちなみに使用しているLFOを1と3とした理由は、GUI上の操作性によるもので、LFO 2を都度表示させることで操作が煩雑になるのを回避するため。

図のようにLFO1と3を使用してオシレータのCtrl A、B、ピッチを変調しています。LFOはどちらもS&H波形を選択し、ランダムな変調効果が得られるようにしています。LFO 1でオシレータ3、とLFO 3でオシレータ4のピッチを変調していますが、どちらもLFOのレイトとデプスを異なる設定にして、不規則な感じを強調しています。

マトリックス機能の設定状態。

<音色データ>

今回作成してるサウンドのプリセット・データ(音色データ)です。
以下のリンクをクリックしてダウンロードされる「Mysterious_Bell.spf_.zip」ファイルを解凍後、現れた「Mysterious Bell.spf」ファイルを、SpireのLoad Presetから読み込みます。

Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。