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Spireでゼロからのサウンドメイク vol.38

前回に引き続き、パーカッシブなエスニック系の音色の作成方法とアルペジエーターの設定について紹介していきます。

今回はフィルター設定とマトリックス機能を中心に解説したいと思います。

今回作成した音色の設定を表示した全体像。

<デモサウンド>

今回の音色はアルペジエーター機能をStepモードで使用してシーケンスを演奏させています。フレーズは7/8拍子、1小節のループフレーズで、実用音域内でオクターブを上下してフレーズが聴き比べられるようにしました。

また、より演奏感がわかるように、フレーズに合わせてSpireのファクトリーバンク8番のドラム音色のプリセットにあるキック、スネア、ハイハットを組み合わせてドラムループのトラックを併せて作成しています。

フィルター設定とマトリックス機能

フィルターセクションの設定は、オーソドックスなローパスフィルターを使用した調整を行なっているだけですが、

フィルター設定の状態。

アルペジエーター機能を使うことから、ベロシティでの音色変化をフィーチャーしたいと考え、マトリックス機能で設定を行なっています。

マトリックス機能の設定状態。黄色の枠線で囲んだ部分が設定箇所となる。

図のようにベロシティでフィルター1のカットオフとレゾナンスを変調していますが、フィルターが開きすぎるとEGで設定したアタック感が消えて音色だけが明るい減衰音になってしまうため、カットオフへのかかり具合は少々控えめに設定しています。こちらについてもお好みで調整してみると良いでしょう。このベロシティの設定についてはマスターセクションのベロシティ設定も関係してきます。最終的に音色の設定を追い込む場合には、マトリックス機能上での各ターゲットに対するかかり具合との兼ね合いで双方を行き来しつつ調整するのがベターです。

マスターセクションのベロシティ設定状態。黄色の枠線で囲んだ部分の調整はアルペジエーターを演奏させながら行なうと良い。

EGの設定

EGの設定を行う上では作成している音色の性質上、立ち上がりが速く、鋭いアタック感が重要になります。設定を画面で見るとさほど難しいものには見えないのですが、調整のポイントはENV 3のディケイとサスティンです。特にディケイの設定はあまり減衰時間が長いと打楽器的というよりはベル的なエンベロープになりますので、「カツッ」という感じの音の変化具合を聴きながら調整していくと良いでしょう。また、ENV 1のリリースの調整でフレーズの歯切れの良し悪しが決まってきます。こちらもアルペジエーターで演奏させながらリリースを適した音切れになるように調整しましょう。

ENV 1と3の設定状態。各ENVでの設定のポイントとなるパラメータは黄色の枠線で囲んだ部分となる。

<音色データ>

今回作成してるサウンドのプリセット・データ(音色データ)です。
以下のリンクをクリックしてダウンロードされる「EthnicTunedPercussion01.spf_.zip」ファイルを解凍後、現れた「Ethnic Tuned Percussion 01.spf」ファイルを、SpireのLoad Presetから読み込みます。

Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。