Spireでゼロからのサウンドメイク vol.33

Spireでゼロからのサウンドメイク vol.33

シンセヒット系の音色作りのまとめとして、その他エディットにおけるポイントを解説していきましょう。

今回作成した音色のメイン画面

<デモサウンド>

今回作成した音色のデモサウンドです。最初の8小節は、今回作成した音色トラックのみ、9小節以降からオケが入ります。作成した音色が単体での響き方とオケに入った時の聴こえ方に着目してチェックしてみてください。

オシレータのミックスバランス

今回の音色は、オシレータのボリュームバランスでオケに混ざった時のサウンド調整がしやすいように予め役割を決めて音色作りを行なっていますので、これらの調整について説明しましょう。

オシレータのミックスバランス設定部分。現状の設定では全て同じバランスに設定済。

まず、オシレータ3と4は高域のヌケとアタック感の役割を持たせています。これらのボリュームを調整することでオケに混ざった時のサウンドのヌケやアタック感を調整できます。また、オシレータ1と2は、主にアタック時のピッチ変化を付加した中域の質感重視の調整をしていましたので、ピッチ変化が気になるフレーズの場合にはオシレータ1と2のボリュームを小さくすることで調整できます。

このように音色作りの際は、オシレータごとにアタック部分、ボディ部分などのように役割を持たせて組み合わせておくとミックス作業時のサウンドエディットをしやすくなります。ある程度使用目的のハッキリしている場合にはこれに留意して進めると良いでしょう。

エフェクト設定について

最後にエフェクト設定について補足しましょう。この音色で使用したエフェクトはコーラス、ディレイ、リバーブの3種類です。

上からそれぞれ、コーラス、ディレイ、リバーブの設定状態となっている。

いずれのエフェクトもSpire上での設定をオケの中でも活かす方向で調整しましたので、少々深めにかけています。特にリバーブは残響感だけでなく、音色自体のリリース部分の役割を兼ねていますので、ENV 1のリリースを短くすると一層それが聴きとれると思います。また、今回もディレイを使用してピンポンディレイに聴こえるように調整し、立体感を付加しています。このディレイの有無によって音像の広がり感が変わってきますので、ディレイのエフェクトレベルを0にしてみると違いがわかるでしょう。

今回作成したシンセヒット音色の解説は以上ですが、この音色を作成している過程でアナログシンセ風スティールパンの音色ができましたので、それも公開したいと思います(プリセットデータ:Synth Steel Pan 00.spf)。

中央のドの音より上の音域を使用して、トレモロ風に演奏してみるとそれらしくなると思います。

音色についての解説は割愛させて頂きますが、ポイントとしてはベロシティも設定して演奏による強弱表現もできるようになっていますので、必要に応じて適宜弾きやすいレスポンスに調整すると良いでしょう。

また、これを元にオシレータモードを変更してみたり、エンベロープを調整してみるなど、チョイ足しエディットにもトライしてみてください。

<音色データ>

今回作成してるサウンドのプリセット・データ(音色データ)です。
以下のリンクをクリックしてダウンロードされる「VintageSynthHit1.spf_.zip」ファイルを解凍後、現れた「Vintage Synth Hit 1.spf」ファイルを、SpireのLoad Presetから読み込みます。

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに参加の他、バンド「島へ行くボート」で活動中。黎明期からMIDIやDTMとの関わりは長く、音楽制作系のライターとしても広く知られており、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。