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Spireでゼロからのサウンドメイク vol.23

前回に引き続きエレクトリックオルガン音色の作成ポイントを解説していきます。今回はフィルター、EGの設定について見ていきましょう。

今回の作成音色を読み込んだメイン画面

<デモサウンド>

今回作成した音色のデモサウンドです。マトリックス機能を使用してコーラスエフェクトのかかり具合をリアルタイムコントロールしています。

フィルター設定について

今回のエディットでは、フィルターを使用していないのもポイントとなります。

フィルターセクションの設定状態。今回は不使用のため、オフになっている。

作成中にフィルターなども設定してみたのですが、元々サイン波合成で倍音構成がシンプルであるため、あまり効果的な音色調整が行なえなかったことから、思い切ってフィルターは使用せずに音色を仕上げることにしました。そのため、フィルターに対するEG(=ENV3)も設定していませんので、ENV1の設定がカギとなります。

ENV1の設定について

オルガン音色のEG設定はざっくり行うとするとアタックを最速、サスティンを最大にすることで得られますので、用意に設定できるのですが、今回は「できる限りリアルさを追求する」がテーマです。

改めて実際のエレクトリックオルガンの音をじっくり聴き込んでみると、音色の設定によっては「カツッ」、あるいは「ポコッ」というようなアタック感があるのがわかります。

これは、パーカッション設定を行うことで得られる効果で、オルガンらしさを感じさせるポイントでもあります。実際の設定は下図のようにしています。

ENV1を設定した状態。

この感じを出すためにはENV1のディケイタイムの設定がカギとなります。設定する際にはまず、サスティンを0にした状態でディケイタイムを調整します。イメージ的には音が鳴った直後に小さい山を描いたような感じで調整すると良いでしょう。

図のような変化に感じられるようにディケイを調整する。

その後、サスティンレベルをディケイで設定したアタック感がマスキングされない程度を目安に調整していきます。

<音色データ>

今回作成してるサウンドのプリセット・データ(音色データ)です。
以下のリンクをクリックしてダウンロードされる「B3_Organ_1.spf_.zip」ファイルを解凍後、現れた「B3 Organ 1.spf」ファイルを、SpireのLoad Presetから読み込みます。

Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。