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Spireでゼロからのサウンドメイク vol.20

前回に引き続き、アルペジエーター機能を使用した音色作成の解説を進めていきましょう。
今回はフィルターセクション周りの設定について解説したいと思います。

今回の作成音色を読み込んだメイン画面

<デモサウンド>

今回作成した音色のデモサウンドです。最初の4小節は単音、後半の4小節は
最初に押さえていたノートの上で和音を押さえた状態のフレーズとなっています。

フィルターセクションの設定

まず、オシレータからの出力は以下のようにアサインしています。


[01]


[01a]


[01b]


[01c]

フィルターセクションの設定状態。尚、01aはオシレータ1、01bはオシレータ2、01cはオシレータ3の設定状態で、黄色の枠線で囲んだ部分がフィルターインプット部分となる。

  • オシレータ1 → フィルターインプット:1
  • オシレータ2 → フィルターインプット:2
  • オシレータ3 → フィルターインプット:センター

これによって、オシレータ1はフィルター1の音色変化、オシレータ2はフィルター2の音色変化となり、疑似的に異なる音色のような聴こえ方になります。

オシレータ3についてはフィルター1の方に寄せても良いのですが、ここでは思いつきで両方のフィルターに信号を送っています。

設定のポイントは、フィルター2の設定です。フィルターモードをcomboモードにしていますが、サウンド的にフィルター効果というより、オシレータシンクのようなアクの強いサウンドが出せるのが特徴的で、改造TB-303モデルのようなサウンドを出すのに向いていることから、シンセベース音色作りに使用しました。ちなみにSpireのフィルターは、AcidoモードがTB-303のシミュレートに適したモードになっているので、それ風のシンセベース音色を作成する際には試してみると良いでしょう。

減衰音色のEG設定のコツ

今回のような音色の場合、EGの設定は非常にシンプルで、DecayとReleaseの設定を調整すれば良いのですが、曲のテンポや雰囲気に合った減衰加減を調整する時は実際にフレーズを鳴らした状態で調整するとイイ感じに仕上げやすくなります。

ENV 2と3の設定状態。フィルター1と2のカットオフをそれぞれで時間的に変化させているが、設定の際にはアルペジエーターなどを再生した状態で調整を行った。

方法としては、演奏させるフレーズをDAW上に打ち込んでループ再生させたり、シンセ本体のアルペジエーターなどを走らせたまま調整するだけです。非常にシンプルな工程ですが、実際の演奏でどのように聴こえるかが確認できるため、より実践的なサウンドに仕上がります。

次回はアルペジエーターの設定を中心に音色作りのポイントをまとめてみたいと思います。

<音色データ>

今回作成してるサウンドのプリセット・データ(音色データ)です。
以下のリンクをクリックしてダウンロードされる「Pluck_and_Bass.spf_.zip」ファイルを解凍後、現れた「Pluck and Bass.spf」ファイルを、SpireのLoad Presetから読み込みます。

Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。