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Spireでゼロからのサウンドメイク vol.19

今回はアルペジエーター機能を使用した音色をその活用方法と共に紹介しましょう。

今回の作成音色を読み込んだメイン画面

<デモサウンド>

今回作成した音色のデモサウンドです。最初の4小節は単音、後半の4小節は
最初に押さえていたノートの上で和音を押さえた状態のフレーズとなっています。

まずはオシレータの設定から解説したいと思います。

今回作成する音色について

アルペジエーターで演奏させる音色は、どちらかというとPluck系やパーカッシブ系のようなアタックが速い減衰音色が適しています。Spireはそういった傾向の音色に強みがありますので、今回のような音色を作成する上では最適なシンセと言えます。

また、最近のアルペジエーターはステップシーケンサー的なフレーズ演奏が設定できるものもあり、Spireのアルペジエーターも16ステップのステップシーケンサーのように使用できますので、これらの要素を活かした音色を作成してみましょう。

各オシレータで作成するサウンドとそれらの設定

今回の音色は3オシレータを使用し、それぞれ以下のようなサウンドメイクを行なっています。

  • オシレータ1:Hard FMモードを使用したパーカッシブ系音色
    パーカッシブな音色とFM変調は相性が良いので、音色の核となるオシレータ1のサウンドメイクはHard FMモードを使用して図のような設定を行っています。

    オシレータ1の設定。Ctrl AをLFO1で変調し、サウンドにうねりを加味している。

  • オシレータ2:ビンテージベースマシンTB-303風のシンセベース音色
    シンセベースと高域のシーケンスフレーズで同じフレーズを演奏させることがありますが、オシレータ2はそれを行なうために使用しています。音色的な違いは、フィルターへの信号の振り分けで設定しました。

    オシレータ2の設定。ベースらしさを出すため、2オクターブ低いレンジに設定している。

  • オシレータ3:オシレータ1の高域を補強するサブ音色的な設定
    オシレータ1で作成したサウンドの高域のキラキラ感を補強するために、オシレータ1より高い音域に設定してミックスしています。

    オシレータ3の設定。高域補強のため3オクターブ高いレンジに設定している。

今回の音色においては、フィルターの設定がポイントの一つとなっていますので、次回はその辺りを中心に解説したいと思います。

<音色データ>

今回作成してるサウンドのプリセット・データ(音色データ)です。
以下のリンクをクリックしてダウンロードされる「Pluck_and_Bass.spf_.zip」ファイルを解凍後、現れた「Pluck and Bass.spf」ファイルを、SpireのLoad Presetから読み込みます。

Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。