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Spireでゼロからのサウンドメイク vol.06

シンセベース音色の解説は今回で一区切りです。最後にその他のエフェクトの設定と全体的な音色調整のポイントなどについて解説していきましょう。

今回、作成しているサウンドはこちら。

<デモサウンド>

今回作成したシンセベースの使用例。オケの中でのイメージがしやすいように
上モノのシンセパッドで白玉コードを別音色で一緒に鳴らしています。

コーラス、ディレイ、リバーブエフェクトの設定

曲のリズムセクションとしてベース音色を使用する場合には、これらの空間系エフェクトを積極的に使用することは少ないのですが、今回は低域のスケール感や音圧感的な部分を優先しているため、いずれも深めに使用しています。

まずコーラスエフェクトは、JP-8000コーラスのエミュレートモードを選び、ドライとエフェクトのバランスはほぼ1:1の状態にしています。レートはあまり速くない方が音の厚みを感じやすいので、ここでは値を225に設定してみました。

また、広がりを出すにはwideの設定を深めにすると広がりを感じやすいでしょう。

続いてディレイですが、あまりフィードバックを上げ過ぎるとサウンドのまとまりに欠けるので、フレーズを演奏した時に濁りすぎないぐらいを目安に調整しています。

そしてリバーブは、ディレイとの兼ね合いで調整していますが、設定の目安はディレイのエフェクト音がにじみ過ぎないようにdecayとエフェクトバランスを調整すると良いでしょう。

音色調整のポイント

概ね音色の設定ができたら、音量レベルの調整を行います。単純に音量を大きくしたい場合にはオシレータレベルを大きくすれば良いのですが、音色の質感を含めて調整したい場合にはx-compが重宝します。

実際に使用してみると、ノブを少し上げただけでも即座にサウンドの質感が変化しますので、少しずつ設定値を上下させながら調整すると適した音量を見つけやすいでしょう。

また、元となる音色自体のアタック感を調整したい場合には、FM変調のメリットを活かした音色部分の調整をどの位めだたせるかがポイントとなります。これはオシレータバランスでオシレータ1のボリュームを調整すればオーケーです。

今回作成した音色のエディットのポイントは以上ですが、実際の細かい設定などはデモサウンドと音色データをチェックしてみてください。

<音色データ>

今回作成してるサウンドのプリセット・データ(音色データ)です。
以下のリンクをクリックしてダウンロードされる「SweepSynthBass.zip」ファイルを解凍後、現れた「SweepSynthBass.spf」ファイルを、SpireのLoad Presetから読み込みます。


Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。