You are currently viewing Spireでゼロからのサウンドメイク vol.05

Spireでゼロからのサウンドメイク vol.05

前回のオシレータとフィルターセクションの調整に続いて、今回の音色エディットのカギとなるStepperの設定とShaperエフェクトの設定などについて解説したいと思います。

今回、作成しているサウンドはこちら。

<デモサウンド>

今回作成したシンセベースの使用例。オケの中でのイメージがしやすいように
上モノのシンセパッドで白玉コードを別音色で一緒に鳴らしています。

Stepperの設定について

今回の音色では、StepperをShaperエフェクトのパラメータを周期的に動かして変化させるために使用しています。もちろんLFOやEGでもShaperのパラメータを変調することはできますが、Stepperを使用することで複雑な時間変化を持った周期を設定でき、より複雑な音色変化を得られるためです。ここではStepperの設定がわかりやすいように2ステップを使用した変化を設定しています。

この設定をShaperのパラメータに割り当てるためにマトリックス機能を使用し、ソースにStepper(ここではStepper 1)、ターゲットにShaperのs.rate(サンプリングレート)を割り当て、かかり具合をマイナス方向の最大値にしてみました。

かかり具合についてはケースバイケースで適宜調整してみても良いでしょう。

Shaperエフェクトの設定

Shaperエフェクトを簡単に説明すると、ビットクラッシャー、ディストーション、フィルターの機能が一つにまとまった歪系エフェクトです。そのサウンドを聴いてみるとダークな汚し系サウンドを得られるので、音色にインパクトを付加したい場合には有効なエフェクトとなります。今回はfbsinモードを使用して、サンプリングレートを変調させましたが、flt-dcmモードなどを選んでも面白い効果が得られますし、サンプリングレート以外のパラメータを変調して動きをつけるのも良いでしょう。

ただし、このような汚し系エフェクトは必要以上にかけ過ぎると元音がやせた感じとなり、歪んだだけのサウンドになりがちです。特にdriveやbitの設定値はかかり具合を確認しつつ、調整することをオススメします。

<音色データ>

今回作成してるサウンドのプリセット・データ(音色データ)です。
以下のリンクをクリックしてダウンロードされる「SweepSynthBass.zip」ファイルを解凍後、現れた「SweepSynthBass.spf」ファイルを、SpireのLoad Presetから読み込みます。


Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。