Spireでゼロからのサウンドメイク vol.42

Spireでゼロからのサウンドメイク vol.42

シンセドラムの各音色を作成するポイントのまとめとして今回はハイハットを作ってみましょう。

今回作成した音色の設定を表示した全体像。

<デモサウンド>

今回はキック、スネア、ハイハットを作成してドラムキットを組み、
Spireのシンセベースと共にリズムトラックを作成しています。

ちなみにミックスの際に使用したリバーブはFabFilterのPro-Rです。
エフェクトのセンドリターン用トラックを作成し、各ドラムキットに適宜かけています。

ハイハットの音色のポイント

ハイハットは一般的に“金モノ”と呼ばれるように金属質の楽器ですが、アナログシンセで作成する場合、大元の音はキックやスネアと同様にノイズ波形を使用して作成します。尚、厳密に言うと実際のハイハットはサンプラー音源などで用意されているようにクローズド・ハイハット、オープン・ハイハット、ペダル・ハイハットなどの奏法があるので、少なくても3種類必要になるのですが、今回はクローズド・ハイハットについて解説していきます。

オシレータの設定

ハイハットの場合は2基のオシレータを使用しますが、オシレータ1をノイズモード、オシレータ2をAMSyncモードに設定しました。

各オシレータセクションの設定状態。上からそれぞれオシレータ1、オシレータ2となっている。

オシレータ2でAMSyncを使用したのは、スティックで叩いた時のアタック音の成分を加えるためです。FM変調でも設定次第では似た効果が得られますので、この辺はお好みで設定すると良いでしょう。参考までに私の場合ではありますが、ハイハットのサウンドメイクは厚みや音圧感を表現するというより、アタック感やシャープさを出すイメージで音作りを進めて、オシレータも概ね2基で作成することが多いです。

フィルターの設定

ハイハットについてもフィルターは2種類使用しました。スネア、キックと違う点はフィルター2をハイパスフィルターに設定していることです。ノイズに設定しているオシレータ1をハイパスフィルターに通すことで、シャリシャリした高域成分で金属感を表現しています。

フィルターセクションの設定状態。カットオフ2をハイパスフィルターに設定している点がポイントとなる。

カットオフ2に対するEGはENV4で設定していますが、音切れ感をチェックしつつ、ディケイの値を極力短くしています。

ENV4の設定状態。ここの値次第でニュアンスが大きく変わるので、十分に調整することをオススメする。

また、他のEGの設定についてもアンプセクションの時間変化となるENV1もディケイは短めに設定しています。

アンプセクションのEGはENV1で設定する。

その他の設定のポイント

ハイハット音色の場合は、今回のクローズド・ハイハットを元にエディットを行なうことでオープン・ハイハットやペダル・ハイハット風にも仕立てられます。オープン・ハイハットの場合は各EGのディケイを長めに、ペダル・ハイハットの場合はアンプセクションに対するEGのアタックを遅めにそれぞれ調整することでそれらしくなります。また、ハイハットの作成手順は、同じ金モノであるシンバル音色作成にも応用できます。もちろんディケイなどの調整も必要ですが、ポイントとなるのはリリースの設定です。リリースを少し長めに設定することでリズムボックスのようなシンバルにもエディットできますので、試してみてください。

<音色データ>

今回作成してるサウンドのプリセット・データ(音色データ)です。
以下のリンクをクリックしてダウンロードされる「AnalogHiHat.spf_.zip」ファイルを解凍後、現れた「Analog Hi Hat.spf」ファイルを、SpireのLoad Presetから読み込みます。

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに参加の他、バンド「島へ行くボート」で活動中。黎明期からMIDIやDTMとの関わりは長く、音楽制作系のライターとしても広く知られており、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。