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Spireのプリセットサウンドを更に良くするチョイ足しエディット術 vol.27

しばらくSpireの主なセクションの解説が続きましたが、少々趣向を変えて初期状態からのチョイ足しワザを紹介しましょう。
今回はオシレータデチューンの活用テクです。

少ないオシレータ数で厚みや広がりを出すには?

Spireは4オシレータ構成ですので、フルに使用すると様々な波形バリエーションを得たり、厚みや広がりを演出することも可能ですが、使用するオシレータ数が1個でもユニゾンセクションの設定によって厚みのあるサウンドを得ることができます。

設定方法は至ってシンプルで以下のパラメータを好みに応じて調整すればオーケーです。

  • detune:後述のunison modeで設定したボイス数間のチューニングのズレ加減を調整します。
  • density:Spire独自のパラメータでユニークなユニゾンサウンドを得ることができます。
  • unison mode:同時発音させるボイス数と、そのボイシングを行うインターバル(音程)の設定を行います。

ここではシンプルなパーカッシブなアタック感を持ったシンセリード音色を作成してデチューンワザを使ってみました。



デチューンテクを盛り込んだ音色設定の状態。
音色自体はフィルターのカットオフの調整とENV1とENV3の設定を行って、コーラス、ディレイ、リバーブを加えたのみのシンプルな設定で作成している。

例えばボイス数を2ボイス、1オクターブに設定して、detuneを13時ぐらいの位置、densityを11時と12時の中間ぐらいの位置に設定するとユニゾン設定を行っていない状態と比較すると独特のコーラス効果が得られます。

ユニゾンセクションの設定は図のように行った。
detuneとdensityの設定の組合せ方だけでも様々なデチューン効果を得られる。

この状態でボイス数を増やしていくと、より複雑なコーラス効果を得ることができるワケです。

ちなみにマニュアルにも載っていますが、unison modeでボイス数を7、densityを最大に設定するといわゆる“SuperSaw”風サウンドを得ることができます。更に内蔵エフェクトのコーラスでJ8モードをなども併用するとよりリアルなJP-8000風サウンドに迫れますので是非お試しを。

<デモサウンド>
本文中で解説した音色による演奏例。
デモサウンドのようなフレーズにはディレイやリバーブを少し深めにすると派手さが演出できる。


Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。