前回に続いてもう一つデチューンを活用したテクを紹介しましょう。
今回は独自のSuperSaw風サウンドを作る方法です。
デチューン効果を応用してSuperSaw風サウンドを得るには
前回はユニゾンセクションの設定を使用した方法でしたが、今回はシンセサイザーの音色作りのセオリーに則った方法でアプローチしてみましょう。
音色作りのポイントの一つには、オシレータごとのチューニングを微妙にズラして音色の原味を出すというのがありますが、これはシンプルに波形を出力した音の場合、うねりや揺れがなく単調になりがちなため、意図的に音を揺らすことで単調さを軽減させているワケです。
その定番ワザともいえるのが、オシレータのピッチズラしなのです。
さて、前回の最後にマニュアルに載っているSuperSaw風サウンドの設定を紹介しましたが、同様のサウンドをSpireの4オシレータをフル活用してシミュレートしてみましょう。
基本となる音色は前回作成したシンセリードとほとんど同じですが、今回はユニゾンセクションの設定を使用せずに、オシレータのデチューンで設定しています。
設定を行う上ではデチューン具合を決定するwaveセクションのfineパラメータの設定加減がポイントとなります。




各オシレータのfineのセッティング。
SuperSaw風に仕立てたい場合には気持ち設定値を大きくすると良いが、ズラし過ぎると単にチューニングがズレてしまっている感じに聴こえてしまうので、出音を確認しながら設定すると良いだろう。
fineというパラメータは、各オシレータの微妙なチューニングを調整するパラメータですが、設定の際に全オシレータをズラすのではなく、1個はズラさないオシレータを用意しておくことです。これによって基準のピッチが維持できるので、他のパートと混ぜた時にも破綻し辛いこと、音の芯となってサウンドの線がハッキリしやすいこと、などが理由です。
この設定に内蔵エフェクトのディレイ、リバーブ、お好みでコーラスなどを加えるとデモサウンドのような音色となります。
本文中で解説した音色による演奏例です。デチューン効果の違いを聴き比べられるようにフレーズは前回と同じフレーズにしているので、是非聴き比べてみてください。