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Spireのプリセットサウンドを更に良くするチョイ足しエディット術 vol.30

前回に引き続きピッチエンベロープの設定のポイントを紹介しましょう。
今回はオーソドックスなシンセブラスにアタック感を加えるエディットテクです。

ピッチエンベロープの設定

ピッチエンベロープは変化範囲を大きくすることで派手なサウンド向きの設定となりますが、変化幅の小さい設定は微妙な音色のニュアンスを加える上で活用されています。

例えば、オーソドックスなシンセブラス音色の場合はコードリフや白玉コードの演奏に使用されることが多い音色ですが、

スタンダードなシンセブラスの設定状態。オシレータ2の設定はデチューンを+7に設定している以外はオシレータ1と同じ。

単音フレーズを演奏した時にはアタックが元々柔らかい設定なので、アクセントを効かせたフレーズを演奏するには少々インパクトに欠けます。そこで、音色にアタック感を加えるため、オシレータのピッチをエンベロープでクセをつけるワケです。

設定のポイントは前回説明した通りENV2を下図のように設定して、

管楽器のしゃくり上げのようなニュアンスをアタックに加える設定例。アタックタイムの調整がポイントだ。

管楽器のしゃくり上げ的なニュアンスを加えることと、元の音色は2オシレータを使用して作成されていますが、オシレータ1のみを変化させることです。片方のオシレータのみにかけることでアタック時の両オシレータ間のピッチのズレが目立つことでアクセントとなります。

デモサウンドではピッチ変化が未設定のスタンダードなシンセブラスとピッチ変化を加えたシンセブラスを同じフレーズで演奏していますので、どのような違いがあるか聴き比べてみてください。

<デモサウンド>
本文中で解説した音色による演奏例です。ピッチエンベロープの設定による効果の違いを聴き比べられるようにフレーズは前回と同じフレーズにしているので、是非聴き比べてみてください。

tips_030_demo_01:ピッチ変化未設定のシンセブラスのフレーズ:

tips_030_demo_02:ピッチ変化を加えたシンセブラスのフレーズ:


Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。