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Spireのプリセットサウンドを更に良くするチョイ足しエディット術 vol.33

前回に引き続きランダムにピッチが変化するディレイサウンドの活用テクを紹介します。今回はEGで変調する方法です。

ディレイサウンドのピッチをEGで変調する

EGでディレイサウンドのピッチを変調するアプローチは、得られる変化がLFOでの場合と異なります。元々EGの場合は、音の要素に対して時間的変化を加えるものですので、周期的に同じ動きを繰り返さず、ワンウェイの動きとなります。

設定はLFOの時と同様、変調先にディレイタイムのLとRを指定し、amt(アマウント)レベルでかかり具合を設定します。後はEGの各パラメータを好みで設定すればオーケーです。

LFOでの設定と比較しやすいように、音色とデモサウンドのフレーズは同じものを使用しています。

デモサウンドで使用したシンセ音色の設定画面。ディレイとEG2の設定がポイント。尚、非表示の各セクションのパラメータは基本的に前回と同一で、画面ではLFO3でLFO1のRateを変調している設定が残っているが、ここでは使用していない。

ディレイタイムはLを30ms、Rを55msとかなり短く設定してみました。

ディレイセクションの設定状態。エフェクトバランスは元音とエフェクト音を50:50にしているが必要に応じてバランスを調整すると良い。

EGで設定する場合、ディレイサウンド独自の変化が欲しい時は既にフィルターやアンプに対して使用しているものではなく、使っていないEGを使用して行うのがベターです。ここではEG2を使用しています。

EGセクションの設定例。

別セクションに対して使用しているEGと同じものを使用する場合には、各セクションのパラメータ上ではLとRに割り当てられないので、マトリックス機能を使用して設定を行うと良いでしょう。これは前回のLFOの場合でも同様です。

また、エフェクトにはディレイだけでなく、リバーブを使用して残響感を更に加えてみると、また違った世界観のサウンドになりますので試してみてください。

<デモサウンド>
EGでディレイタイムを変調してエフェクト音のピッチが変化するディレイサウンドの設定例。
フレーズ自体はLFOの時と同じフレーズで、2小節ごとに小節頭で16分音符を1個打ち込んだだけのシンプルなフレーズとなっている。


Reveal Sound SPIRE

Spire

ポリフォニック・シンセサイザー

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。