You are currently viewing Spire Topics & Tips – vol.9

Spire Topics & Tips – vol.9

フレーズに合わせ込む音色エディット(その2)

前回に引き続きシンセリード音色の作成ポイントを解説したいと思います。今回はフィルター設定とEGの設定について紹介していきましょう。

フィルター設定のポイント

フィルター設定はフィルター1でオシレータ1と2の調整、フィルター2でオシレータ3の調整を行なっています。

この理由は、オシレータ1と2のアナログ系の波形にはローパスフィルター、オシレータ3のFM系の波形にはシェイパーを使用して調整することでよりイメージに合ったサウンドを得るためです。

図7

図8

図7、8:各オシレータのフィルターへの出力状態の設定。それぞれ図7:オシレータ1と2、図8:オシレータ3となっている。

補足ですが、フィルター1と2を個別に使用したい時にはパラレルモードをオンにするのを忘れないようにしましょう。

図9

図9:フィルターセクションの設定。黄色の枠線で囲んだ部分がフィルターのシリアル/パラレル切替のスイッチだ。

EG設定のポイント

EGはENV 1から3まで使用していますが、ポイントはENV 2です。

ENV 1はアンプEGの役割になっていますので、持続音型のエンベロープを設定し、ENV 3はフィルター1と2のカットオフの変化に使用していますが、音色的なアタック感を主に調整を行なっています。

図10

また、ENV 2は隠し味的な効果として、オシレータ3のピッチ変化に使用し、アタック時にしゃくり上げるような効果を付加しています。

図11

図10、11:各EGの設定。図10:ENV 1と3、図11:ENV 2の設定状態。

この変化はオシレータ3のみを聴いているとその効果がハッキリと聴こえますが、シーケンスフレーズで常時ピッチ変化が聴こえると耳障りになりがちです。調整のイメージとしては、3つのオシレータが混ざった時にうっすらと感じられる位が良いでしょう。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。