あの曲のあの音をSpireで再現してみた(その1)
今回はちょっと趣向を変えて、既製曲の中で使用されているシンセ音色をSpireで再現してみようと思います。
お題は巷で話題になっている映画版「鬼滅の刃」の主題歌のイントロに出てくるベル音色です。
Spireでできる限りオリジナルの音色をシミュレートして、それらしい音色を作ってみました。
エフェクト処理はSpire内蔵エフェクトのみで調整していますが、実際に曲の中で使用する際には、リバーブなどの空間系エフェクトを他のトラックと馴染むようにセンド&リターンで別途かけると良いでしょう。
ベル音色の質感はFM変調で作る
Spireのチュートリアル「ゼロからのサウンドメイク」(28~30回)でもベル音色の作成方法は紹介したことがありますが、ベル音色はズバリ、オシレータセクションのFM変調を活用するのがポイントです。
音色を作る手順としては、最初にエンベロープ設定のおおよその形を作っておくと良いでしょう)。
アンプ、フィルターともにディケイとリリースを調整して減衰音状態に設定すれば音色全体の輪郭ができますので、最初にある程度設定しておくと、金属的なサウンドを決めるFM変調の調整などに注力しやすくなります。
FM変調(FMモード、Hard FMモード共)を使用する場合には、オシレータのCtrl AとCtrl Bのパラメータの設定が一番重要です。イメージに近いサウンドになるように十分調整しましょう。
今回の作成例ではオシレータ4基をそれぞれ以下のモードで使用しています。
実際のベルや鐘などの音は複雑なサウンド構成になっているため、オシレータ1基では十分にシミュレートすることが難しいので、複数のオシレータを使用して作成しています。
各オシレータはオシレータ1:高音域部分、オシレータ2:中音域、オシレータ3:はアタック部分、オシレータ4:音色全体のサウンドの補強というような役割分担にしています。
もう1つのポイントとしては、各オシレータのサウンドをデチューンさせることによって、コーラス効果を得るだけでなく、ベルらしいサウンドのうねりが出てくることから、今回はユニゾン機能を積極的に使用しました。
特にオシレータ4ではオクターブユニゾンでのデチューンに設定していますが、ベルサウンドをまとめ上げるためのサウンド補強の点で効果的に働いているのが確認できるでしょう。