ユニゾンモードをサウンドメイクに活用する(その3)
ユニゾンモードを活用したシンセヒット系音色作成のポイントは今回で一区切りとなります。 最後にEGやエフェクトの設定ポイントについて解説したいと思います。
EGの設定はディケイとリリース
シンセヒット系音色のEG設定は取り立てて難しい調整は不要だと思いますが、安易に設定してしまうと中途半端な音色になりがちです。
調整する際には、ディケイとリリースに留意して調整すると良いでしょう。
ポイントとしては、音が減衰する感じはENV 1のディケイを曲のテンポに合わせて調整しつつ、その調整した状態に沿ってENV 3のディケイで音色の減衰変化を調整します。また、キーオフ後のリリースはENV 1のリリースが長いと締りの無い演奏になりやすいので、歯切れ良い音切れになるように調整すると良いでしょう。ENV 3のリリースはENV 1よりも長めに設定するとキーオフ後の余韻部分の音色変化が自然な感じになります。
エフェクトの設定について
今回はSHAPER、コーラス、ディレイ、リバーブを使用してサウンドメイクを行ないましたが、簡単にそれぞれの設定のポイントを紹介しましょう。
まず、SHAPERは、音色の荒さを付加するために使用しています。シンセ波形の場合、意図的に波形を歪ませないと、どうしてもストレートなシンセサウンドになりやすいため、エッジを利かせたい音作り合には、汚し系エフェクトを使用するのがベターです。ここでは少々軽めに設定していますが、曲調によっては歪の強さをもっと大きく設定しても良いでしょう。
続いてコーラスですが、今回はJP8000の内蔵コーラスをエミュレートしたタイプを使用してみました。ここではエフェクトタイプを変えつつ、合いそうなものを選びましたが、各自の好みで選んでも良いと思います。
ディレイについては、今回のエフェクトの設定の一番のポイントと言っても良いのですが、テンポ同期させたディレイタイム設定にしている点に着目してみてください。
左チャンネルを1/16(=16分音符)、右チャンネルを1/24(=16分音符の3連)のディレイタイムにすることで、フィードバック成分による音がテンポに合致しているため、演奏がタイトなサウンドになっています。今回の場合は、カチッとした打ち込みサウンドに仕立てたいことと、ディレイ成分が演奏に重なるタイミングでの不協和感をほとんど気にしなくて良いサウンドメイクだったことから、テンポ同期を積極的に使用しましたが、ディレイタイムの設定はケースバイケースです。テンポ同期させない方が自然な感じになる場合もありますので、ディレイを使用する際には留意すると良いでしょう。
最後にリバーブです。
今回は全てSpireの内蔵エフェクトのみでミックスしましたが、リバーブについては、本体のリバーブをオフにして、センド&リターンで外部のプラグインエフェクトなどでの処理を行なうのも良いでしょう。
また、Spireをお持ちの方は、今回の音色のプリセットデータを用意していますので、本文と併せてチェックしてみてください。
Spire Topics & Tips – vol.4 プリセットデータ
↑ 今回作成してるサウンドのプリセット・データ(音色データ)です。ダウンロードされる「Synth Hit m7 005.spf2.zip」ファイルを解凍後、現れた「Synth Hit m7 005.spf2」ファイルを、SpireのLoad Presetから読み込みます。