内蔵エフェクトを活かしたサウンドメイク(その2)
久しぶりの更新となりましたが、今回は内蔵エフェクトを活かしたサウンドメイクの第2弾として内蔵コーラスに焦点を当ててみましょう。
それと合わせてSpireのFM変調機能を使ったFMエレピの作成方法も紹介したいと思います。
コーラスエフェクトを使用する
元音に対して音の厚みや空間的な広がりを付加するコーラスエフェクトは、パッドやストリングス、エレピなどの音色と非常に相性が良いことから使用する機会も多いエフェクトです。
Spireに内蔵されているコーラスエフェクトは、他の専用エフェクトプラグインのコーラスと比較しても遜色ないサウンドが得られますので、積極的な活用をオススメします。
Spireの内蔵コーラスエフェクトは、フランジャー効果も得られる(コーラス&フランジャー)です。パラメーター構成はユーザーマニュアルにも記載されていますが、以下の通りとなっています。
- Mode:
- 01 -フランジャーエフェクト
- 02-06 –密度の異なるコーラスエフェクト
- J8 – ハードウェアシンセサイザー“JP8000”装備のコーラス同様のサウンドが得られるコーラスエフェクト
- Delay:ディレイタイムの設定
- F.Back:フィードバック量の設定
- Rate:モジュレーション(変調)の速さを設定
- Depth:モジュレーション(変調)の深さを設定
- Wide:ステレオ効果の広がり具合の設定
- Low Cut:ローカット(ハイパス)フィルターの周波数の設定
- Hi Cut:ハイカット(ローパス)フィルターの周波数の設定
- Dry/Wet:ドライとウェットバランスの設定
設定時のポイントとして、自然な広がり感が欲しい場合はRateはあまり速くすると広がりというよりはビブラートのようなサウンドになりやすいので、ゆっくりめに設定します。加えて、F.Backで設定するフィードバック量を控えめにして、Wideの値は深めに設定すると良いでしょう。
また、コーラスエフェクトを使用すると中域以下の帯域が膨らんでサウンドが重くなりすぎるケースがありますが、その際にはLow Cutを使用して中低域のコーラス成分をカットするとスッキリしたコーラス感が得られます。
SpireでFMエレピ音色を作るには?
さて、そんなコーラスエフェクトと相性の良いエレピ音色を作成してみましょう。
これまでもFM変調を使用した音色作成例を時折紹介しましたが、今回はFM音源の代名詞ともいえるエレピ音色のサウンドにSpireでどこまで迫れるかトライしてみました。
FMエレピはキラキラした金属系のパーカッシブなアタック音に特徴がありますが、そのアタック部分をオシレーター1で作成しています。
オシレーターの2と3は、エレピのサスティン部分をそれぞれ異なるFM変調の設定を行なって作成しました。ある程度オシレーター2と3のサウンドができたところでオシレーター1のアタック部分と合わせて全体のサウンドを微調整しつつ、一つの音色として整えていきます。
オシレーターを3基使用して音色としては一応の仕上がった感があるものの、サウンド自体にもう少し厚みが欲しかったため、オシレーター4を使用してサイン波を足してみました。これの有無によって質感がかなり変わってきます。
仕上げとして、内蔵コーラスエフェクトを使用して完成です。ちなみに今回の音色では前述の図1のように各パラメーターを設定しています。
この他のポイントとしては、フィルターセクションはパラレルで使用し、オシレーターごとに各フィルターへ振り分けて音色調整を行なっています。また、各エンベロープセクションでは、リアルタイムでの演奏を想定してベロシティのかかり具合を強めに設定しています。もし、パッド的に白玉コードを鳴らすような場合には軽めに変更しても良いでしょう。
実際にどのようなサウンドになったのかはデモサウンドを聴いてみてください。前半はコーラスエフェクトオフの状態、18秒位からの後半はコーラスエフェクトオンの状態となっています。
なお、エフェクトのオンオフ比較を行なう上でのスイッチングはBitwig Studio上でmuteのオンオフをオートメーションで書き込んでいます。
Spireをお持ちの方は、今回の音色のプリセットデータを用意していますので、本文と併せてチェックしてみてください。
Spire Topics & Tips – vol.28 プリセットファイル:Spire FM E.Piano 001
↑ からダウンロードされる「Spire-FM-E.Piano-001.spf2_.zip」ファイルを解凍後、現れた「Spire FM E.Piano 001.spf2」ファイルを、SpireのPreset Managerの「Import」から読み込みます。