内蔵エフェクトを活かしたサウンドメイク(その1)
今回から内蔵エフェクトを活かしたサウンドメイクに焦点を当てた小ワザやTipsを紹介していきたいと思います。
まずは、バージョン1.5.11で追加された新しいリバーブを積極的な音作りの活用方法について紹介しましょう。
図0:Spireの全体図
新規追加のリバーブについて
バージョン1.5.11で新しく追加されたリバーブは、5種類ありますが、それぞれのリバーブのサウンドを簡単に紹介すると以下のような特徴があります。
図1:リバーブの種類の切替はmode部分で選択する。
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hall:
コンサートホールや教会の聖堂で演奏した時のような残響感のリバーブ。
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sparkles:
hallと似ていますが、残響感にディレイ効果を加えた一癖あるリバーブ。
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ambience:
部屋鳴りのような残響感ながら、リバーブタイムがショートからロングまで可変範囲が広いリバーブ。
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dmension:
アタック部分のフランジング効果に特徴のあるダブリング効果のような残響感のリバーブ。
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aura:
dmensionと似たダブリング効果のようなリバーブ。こちらはアタック部分のフランジング効果が小さく目立たない。
エディットのポイントとしては、リバーブタイムの調整になりますが、従来から装備しているplate 1、2同様にパラメータのdecayを調整することで、リバーブタイムが変化します。
この他、predelayとdampなどのパラメータを調整することによって、多様なリバーブサウンドを得ることができます。
図2:上の黄色い枠線で囲んだ部分がリバーブのエディットのポイントとなるpredelayとdampで、下の部分がdecayとなる。
ストリングス音色にリバーブをかける
ご存じの通り、ストリングスやパッド系の音色には、リバーブの残響感を加えることで、空間的な広がりや奥行き感を効果的に増すことができます。
そこで、Spireでアナログシンセ風のストリングス音色を作成して、新しいリバーブで残響感を加えてみました。
音色自体は、オーソドックスなストリングス音色の設定ですが、サウンドメイクのポイントとしては、オシレータ3をウェーブテーブル波形の三角波を選び、サブオシレータ的に使用している点と、
図3:オシレータ3の設定状態。
LFOの1と2を使用してオシレータの1と2に別々のビブラートを設定している点です。
図4
図5:それぞれ図4:LFO 1、図5:LFO 2の設定状態。LFO 1はオシレータ1のピッチ、LFO 2はオシレータ2のピッチを変調する。
エフェクトに関しては、最終段のEQで中域と高域を少しだけブーストしてリバーブ成分を目立たせている他は、リバーブのみを使用しています。
図6
図7:それぞれ図6:EQ中域、図7:EQ高域の設定状態。
このリバーブの有無で雰囲気がガラッと変わりますが、違いはデモサウンドを聴いてみてください。
同じフレーズを2度演奏していますが、1回目の演奏はリバーブオフの状態で、24秒以降の2回目の演奏でリバーブをかけた状態です。
なお、実際に使用する際には、同時発音数を8音に設定していますが、音数の多い演奏の際は発音数を多くすることで、音切れなどを回避できます。残響感については、decayでリバーブタイムを適宜調整して使用すると良いでしょう。
また、Spireをお持ちの方は、今回の音色のプリセットデータを用意していますので、本文と併せてチェックしてみてください(データ:Strings with Reverb.spf2 参照)。
↑ からダウンロードされる「Strings-with-Reverb.spf2_.zip」ファイルを解凍後、現れた「Strings with Reverb.spf2」ファイルを、SpireのPreset Managerの「Import」から読み込みます。