第2回:ユニゾンモードをサウンドメイクに活用する(その1)
今回からユニゾンモードをサウンドメイクに活用するTipsをいくつか紹介したいと思います。
最初にユニゾンモードを利用したシンセヒット系音色を作成するポイントについて解説していきましょう。

Spireのユニゾンモードとは?
一般的にユニゾンモードというと、複数のオシレーターを使用し、各オシレーターのボイス数を増やし、デチューンによって厚みを出す機能として用意されていることが多いのですが、Spireに装備されているユニゾンモードは単に音の厚みを出すためだけではなく、異なる音程を同時に鳴らすことができる点がユニークです。

Spireのユニゾンモードの細部をチェックしていくと、各オシレーターで最大9ボイスまで重ねられるだけでなく、それぞれのオシレーターで異なるユニゾンモードを設定でき、

図を見てもわかるように、通常のユニゾン設定以外に、1オクターブ上のピッチや2オクターブ上のピッチによるユニゾンに加えて、メジャー7thやマイナー7thなどのコードタイプ、完全4度や5度ユニゾンなど非常にバラエティーに富んでいます。

同じコードタイプのコードが平行移動するコード進行の場合、これを活用することで、単音でコードを鳴らせるコードメモリー的な演奏を行なうことができるワケです。
ワンショットでコードを演奏するシンセヒット系音色にユニゾンモードを活用する
それでは今回作成するシンセヒット系音色作成のポイントを解説していきましょう。
まず、今回のデモトラックのコード進行は、Cm7 – E♭m7 – Fm7 – D♭m7のようになっています。
本文で解説を行った通り、1ノートでコード演奏可能なシンセヒット系音色によるデモトラックをシンセヒット系音色以外のドラム、ベースなど各トラックの音色は全てSpireのプリセットを使用して作成しています。 また、設定のポイントなどは次回以降で後述しますが、シンセヒット系音色のフィルタースウィープは、フィルターのカットオフをテンポ同期したLFOで変調して表現しています。
前述のとおり、同じコードタイプのコードが平行移動するコード進行の場合、オシレーターのユニゾンモードで使用するコードタイプを設定すれば単音でコードを鳴らせる音色が作成できます。
オシレーターは3基使用し、それぞれのユニゾンモードの設定は次のようになっています。

設定のポイントは、オシレーター1のオクターブレンジを1オクターブ上に設定してアタック感を強調している点と、オシレーター2と3のパン設定を左右に振り分けて厚みを補いつつ、広がりを出している点、そして、各オシレーターのデチューン設定を少しずつ変えてピッチのうねり方にクセを付けている点です。