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Spire Topics & Tips – vol.19

ウェーブテーブルシンセ風の音色をSpireで作成する(その3)

ウェーブテーブルシンセ風の音色をSpireで作成する方法のまとめとして、最後にエフェクトの設定、その他のポイントを解説します。

エフェクト設定について

エフェクトはリバーブとコーラスを使用し、マスターセクションでX-Compを少し加えています。 まず、リバーブはプリディレイとディケイを調整してラージコンサートホールのような残響感になるように調整しました。

図12

コーラスエフェクトについては、各オシレータのユニゾンデチューンの設定との兼ね合いで広がり方を調整しています。

図13

マスターセクションのX-Compについては、出音の補強程度に設定としては少なめにかけています。

図14

図12、13、14:エフェクトの設定。12:コーラス、13:リバーブ、14:X-Compの設定状態。

オシレータのユニゾン設定について

今回、オシレータ1と2のユニゾンボイス数は2ボイス、オシレータ3は4ボイスに設定していますが、ボイス数を決める際のポイントについて紹介しましょう。
ユニゾンデチューン効果を得る際にボイス数を増やすと厚みや広がりは増しますが、デチューン効果によって波形の輪郭が滲んでくるため、元波形の変化が甘くなるように感じられます。
音色によってはそれが良い場合もありますが、今回のサウンドメイクにおいては少々沿わないかなという印象だったことから、オシレータ1と2はボイス数を2ボイスにしました。
オシレータ3を4ボイスにしたのは、オシレータのバランスを考慮し、オシレータ1と2のユニゾンボイス数の合計と同等の数にしたというのが理由です。
それ故、各オシレータで設定しているデチューン値は小さめの設定のため、広がり感は物足りなくなりがちですので、エフェクターのコーラスで広がりや厚みを補完しています。

図15
図16
図17

図15、16、17:ユニゾンの設定状態を含めた各オシレータセクション全体の状態。それぞれ15:オシレータ1、16:オシレータ2、17:オシレータ3の状態を表す。

今回の音色の参考例となるデモサウンドです。 音色変化が十分わかるように白玉コードを中心としたフレーズになっています。

今回作成した音色設定の詳細は、デモサウンドと共にSpireユーザーの方は音色のプリセットデータ(ファイル名:“Galaxy Universe Pad 01.spf2”)をチェックしてみてください。

↑ からダウンロードされる「Galaxy-Universe-Pad-01.spf2_.zip」ファイルを解凍後、現れた「Galaxy Universe Pad 01.spf2」ファイルを、SpireのPreset Managerの「Import」から読み込みます。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。