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Spire Topics & Tips – vol.17

ウェーブテーブルシンセ風の音色をSpireで作成する(その1)

シンセサイザーの音源方式も多々ありますが、最近のシンセサイザーの傾向としてウェーブテーブル音源を採用したものが多く見受けられます。
今回はバーチャルアナログのSpireでウェーブテーブルシンセ風のパッド音色を作ってみたいと思います。

図1:今回作成した音色の設定

今回の音色の参考例となるデモサウンドです。 音色変化が十分わかるように白玉コードを中心としたフレーズになっています。

Spireでウェーブテーブルシンセ風の音色を作成するには?

ウェーブテーブル音源についての詳細な説明は省略させて頂きますが、ウェーブテーブルシンセの音色というと、個人的な主観になりますが、複雑な音色変化とデジタルシンセらしいハイファイなサウンドが特徴だと考えます。
そのイメージで音色作りをSpire上で進めていくとすると、オシレータの設定とLFOやEGによる変調をどのように活かすか、がポイントとなります。

オシレータ1と2の設定について

まずは、オシレータの設定から解説しましょう。
使用したのはオシレータ1から3までの3基で、オシレータ1と2はクラシックモード、オシレータ3はハードFMモードを使用しました。

図2
図3
図4

図2~4:各オシレータのの設定状態。それぞれ2:オシレータ1、3:オシレータ2、4:オシレータ3、となっている。

オシレータ1と2はクラシックモードですが、デジタル風の質感が出るようにWT Mixを内蔵波形のみになるよう、バランスを設定しています。
元々、Spireはオシレータ毎に内蔵波形を使用した波形のモーフィングができますので、ウェーブテーブル的なこともできるワケですが、今回の音色はこの部分を積極的に使用してみようというのが目的です。
今回はこのオシレータ1と2のWAVEに対してLFOで変調してみました。

図5
図6

オシレータ1に対しての変調はLFO1、オシレータ2に対しての変調はLFOで設定していますが、それぞれの波形とRate、Ampを意図的に異なる設定にして不規則な変化を強調しています。
また、隠し味的にオシレータ1のパンをLFO3で変調し、オートパン効果をつけています。

図7

図5~7:LFOの設定。それぞれ5:LFO1、6:LFO2、7:LFO3の設定状態となる。

ここまでの設定は、フィルターやEGなどを調整する前の段階ですので、言わば素の状態の音です。この状態で一度音を鳴らしてみると、どのような変化になっているのかが、ハッキリと聴きとれると思います。

次回はオシレータ3、フィルターセクションの設定などを解説したいと思います。

今回作成した音色設定の詳細は、デモサウンドと共にSpireユーザーの方は音色のプリセットデータ(ファイル名:“Galaxy Universe Pad 01.spf2”)をチェックしてみてください。

↑ からダウンロードされる「Galaxy-Universe-Pad-01.spf2_.zip」ファイルを解凍後、現れた「Galaxy Universe Pad 01.spf2」ファイルを、SpireのPreset Managerの「Import」から読み込みます。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。