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Spire Topics & Tips – vol.16

王道のアナログシンセブラス音色を作成する(その3)

シンセブラス音色の作成方法のまとめとして、ENV 3以外のEG設定、エフェクト処理に関して解説したいと思います。

フィルター変調に使用した以外のENVの調整について

EGの設定では、ENV 3をフィルターセクションに使用した他、ENV 1はデフォルト通り全体の音量変化に使用し、ENV 2をピッチEGとして使用しています。

図10
図11

図10、11:それぞれ10:ENV 1、11:ENV 2の設定状態となっている。

ここで設定したようにENV 2をピッチEGに使用することで管楽器の吹き始めの不安定なピッチ変化をシミュレートしているのですが、全部のオシレータに対して変調するのではなく、音色の芯となっているオシレータ1と4のみに使用しているのがポイントとなります。
一瞬ですが、変化させていないオシレータ2と3とのピッチのズレが管楽器的な雰囲気を作っています。ちなみに3個以上のオシレータに対してピッチ変化を付加したい場合には図のようにマトリックス機能を使用して設定すると良いでしょう。

図12

図12:3個以上のオシレータにピッチEGを付加したい場合には、図のように設定し、各スライダーを適宜調整すると良い(※ 参考例のプリセットデータにはこの設定は反映されていません)。

エフェクトの設定について

今回の音色では、エフェクトによる色付けよりも元の音色をしっかり作ることが重要ですので、内蔵エフェクトについてはリバーブと最終段のx-compのみを設定しています。
リバーブは程よい残響感が加わる程度に設定し、x-compを使用して音圧感を若干調整している程度となっています。

図13
図14

図13、14:それぞれ14:リバーブ、15:x-compの設定状態となっている。

今回作成した音色設定の詳細は、デモサウンドと共にSpireユーザーの方は音色のプリセットデータ(ファイル名:“AN Synth Brass 003.spf2”)をチェックしてみてください。

↑ からダウンロードされる「AN-Synth-Brass-003.spf2_.zip」ファイルを解凍後、現れた「AN Synth Brass 003.spf2」ファイルを、SpireのPreset Managerの「Import」から読み込みます。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。