黄色いシンセSledgeの可能性

Studiologic Sledge バナー

StudiologicブランドのSledgeが、2013年1月11日に日本国内で販売開始となり、1ヶ月が過ぎました。大変ご好評をいただきまして、さらにこの黄色いシンセサイザーに注目が集まっています。どんな音がして、どんな機能が搭載されているのかといったところが、気になるところですよね。

そこで今回は、未だSledgeを手にしていないみなさんに、音源、動画を駆使して、Sledgeの魅力をお伝えします。なるだけ分かりやすく、伝わりやすい記事を心がけますので、みなさん最後までご覧ください。

Sledgeのスペック

Studiologic Sledge

▶ 黄色いシンセSledge

まずは、Sledgeのスペックを見てみましょう。

Sledgeは5オクターブのFatar製TP/9S Syntherizer鍵盤に、Wardolf社のモデリング技術であるデジタル・シグナル・プロセッサを採用したバーチャル・アナログ・シンセサイザーです。

Fatar製鍵盤については弊社のWebページでもいくつかご紹介してきたため、「知ってる!」という方もいらっしゃるかと思います(知らない!という方は、以下のリンクをご参照ください)

では、Waldorとは何でしょうか?

Waldorf(ウォルドルフ)とは、ドイツを代表する電子楽器ブランドで、Waveシリーズなどが代表製品として挙げられます。WaldorfはWAVETABLE方式で生み出した特殊な出音を武器に、シンセサイザーを扱っている人からは憧れのブランドに成長しました。このWAVETABLE波形がSledgeに用意されており、他のバーチャル・アナログ・シンセサイザーとは、一線を画します!

Sledgeの操作性

Sledgeは、3オシレータ+NOISEと減算合成方式の一般的な構成です。その他の機能としてフィルタ、LFO、エンベロープ(フィルタ・エンベロープ、アンプ・エンベロープ)、エフェクトなどといった、これらもスタンダードなものばかり。オシレータ、フィルタなどの、シンセサイザーの機能に不安がある方は、こちらをご一読ください。

シンセサイザーをある程度触ったことがある方なら、説明書なしで使えてしまい、シンセサイザー初心者の方なら、ファースト・シンセサイザーにはうってつけです。プリセットも厳選された音色が用意されているので、安心ですね。

また、コントロール部のレイアウトは使いやすさを重視した配置はもちろんのこと、各機能のノブも本当に必要なものだけ搭載されています。それが顕著に表れているのが、エフェクターパネルです。

Sledge エフェクト

▶ エフェクターパネル

エフェクターはモジュレーション系のFLANGER、PHASER、CHORUSと、空間係のDELAY、REVERBの5つが用意されています。

モジュレーション系と空間系は2系統に分かれており、同時にかけられるエフェクターはモジュレーション系から1つ、空間系から1つといった最大2つまで。なおかつ、操作できるエフェクター・ノブは2つといったシンプルな仕様です。

しかし、この最小限の組み合わせが、最大限の変化をもたらします。以下に音源を作成しました! エフェクトはREVERBとPHASERを使用していて、REVERBのTIMEノブを動かしながら空間を大きく広げ、PHASERのDEPTHノブを動かし、音色に変化を与えています。

Sledgeのアルペジエイターとアフタータッチ

Sledge アルペジオ・モード

▶ アルペジエイター

先ほどの音源で使用したアルペジエイターは、アルペジオ・モードで詳細な設定が可能です。

アルペジオのOn、Offから、ラッチ(Latch)モードの有効、アルペジオ(Arpeggio)の方向、レンジ(Range)、レングス(Length)といった設定も、ノブ1つで簡単に変更可能。

  • Latch:鍵盤から手を離しても、アルペジオが有効なモード
  • Arpeggio:発音する順番の設定(音程の低い順番からなのか、音程の高い順番からなのか)
  • Range:発音するオクターブ範囲の設定
  • Length:発音するアルペジオ・ノートの長さを設定

現在のアルペジオの状態は全てディスプレイに表示されるため、ライブ中でもアルペジオの状態が一目で確認できます。

また、SledgeはMIDIキーボード/コントローラとしてもご利用いただけます。MIDIキーボードをお持ちでない方にとっては、本格的なシンセサイザーとFatar製鍵盤のMIDIキーボードが手に入るという、まさに一石二鳥!

そして、Sledgeに採用されているFatar製鍵盤は、TP/9Sというシンセサイザーなどの楽器用に作られたタイプです。Nord社、access社、Novation社などのシンセサイザーに採用されており、アフター・タッチ機構を採用しています。アフター・タッチとは鍵盤を押したあと、さらに押し込むことでモジュレーション効果を付加する機能です。

Sledge モジュレーション

▶ アフタータッチへのアサイン

アフター・タッチへのアサイン方法も、とてもシンプルです。

Sledgeでは、モジュレーション・ホイールにアサインした効果がアフター・タッチに反映されるため、WHEELボタンを押し、SHAPEでLFOの波形を選択し、DESTINATIONでLFOの波形のどの機能に入力するか設定します。そして、LFOのスピードとモジュレーション効果の深さは、2つのノブで調整といった、ここでもシンプル&直感的な操作が可能です。

アフター・タッチの感覚と、アフター・タッチでどんな演奏が可能になるか体験してもらうため、動画を用意しました。ご覧ください。

動画でも確認いただけるように、アフター・タッチの押し込み具合も忠実に音に反映され、アフター・タッチにアサインしたモジュレーション効果の深さも調整可能! このため、鍵盤の演奏で、エフェクトのON / OFFや、効果の深さまで表現できるため、ライブ演奏時にはかなり役立ってくれます。

Sledgeのアフター・タッチ、すごく使えます!

Sledgeのオシレータ

では、冒頭で少しだけ触れたWAVETABLEをご紹介するため、Sledgeのオシレータに迫ってみます。

Sledge オシレータ

▶ オシレータ

Sledgeは3オシレータ仕様です。全てのオシレータに共通した機能として、OCTAVE(オクターブ)、SEMITONE(セミトーン)、PULSE WIDTH(パルスワイズ)、WAVEFORM(ウェブフォーム)があります。

  • OCTAVE:発音レンジの切り替え。OCTAVE単位で切り替えます
  • SEMITONE:半音単位で、レンジの設定が可能
  • PULSE WIDTH:波形の幅を調整し、音色の調整が可能
  • WAVEFORM:元となるオシレータ波形を選択する

また、オシレータ2、3には、オシレータ1、2の周波数を変調させるための波形が用意されており、金属的なサウンドが特長のFMシンセサイザーの音色も作成できます。オシレータ2の波形で、オシレータ1の波形に変調を加え、さらにオシレータ2にLFOを入力すると、動きのある金属的なサウンドの出来上がりです。

そしてオシレータ1には、WAVETABLEノブが搭載されています! これが、Sledge最大の音色の特徴です。

先ほど説明しました減算合成方式をベースとし、FM方式を一部取り入れているといった考え方は、現在ではほとんどのシンセサイザーが取り入れています。しかし、このWAVETABLE方式を採用しているシンセサイザーは、数少ないです。

操作性、見た目などはもちろん大切ですが、シンセサイザーで一番重要な部分はやはりサウンドですよね。他のシンセサイザーとは異なる音をお求めなら、ぜひSledgeのWAVETABLEノブをお試しください!

さらに、WAVEノブはLFOで変調可能。倍音をLFOで変調しながら、リアルタイムでWAVETABLEノブを回していくと、まさにSledgeにしか生み出せない音色の出来上がりです!

と、駆け足でSledgeの魅力についてご紹介してきました。

この記事を書き上げるために、何日も何日もSledgeを触り続けていましたが、操作性は群を抜いています。分かりやすく配置されたコントロール・パネル、丁度良いサイズ感のコントロール・ノブ、シンセサイザーにとって欠かせない機能だけが搭載されたシンプルな仕様のハードウェア・シンセサイザーは、ソフトウェア・シンセサイザー最盛期の昨今ではとても貴重です。

そして、ハードウェア・シンセサイザーのノブを直接触っての音作りは楽しいです。Sledgeは何度も申し上げた通り、シンプルな仕様のため直感的に音作りが可能ですが、作れる音は無限にあります。そのため、気がつくと延々と音作りに没頭してしまうこともあるので、注意が必要です(笑)。

また、太さを残しながらも抜けが良く、基本は減算合成方式を採用しながらも、FM方式にも対応した柔軟さ、最大の特長でもあるWAVETABLE方式から生み出される特殊な出音と、Sledgeの魅力をお伝えするためには、かなりの時間が必要です!

Sledgeが持つ可能性は、この黄色いボディーにまだまだ秘められています。ライブに、音源制作にと使い倒していただき、黄色いシンセに秘められた可能性をみなさんで発掘してください!

投稿者:Support U

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