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Serato Studioで初心者向け簡単ビートメイクのすすめ Vol.5

前回はドラムパターンの作成を行いました。
今回は「サンプルパターンの作成」してみたいと思います。

ここでいうサンプルパターンとは、楽器演奏の代わりにオーディオサンプルを編集して作る演奏パートのことです。

  1. オーディオループサンプルを読み込む
  2. ループサンプルを編集
  3. ループサンプルを追加

1.オーディオループサンプルを読み込む

Serato Studioには、オーディオループサンプルを含むサウンドパックが付属しているので、それらを使用してサンプルパターンを作成してみたいと思います。

では、さっそくパターンの元になるサンプルを探してみましょう。
オートプレビューを有効にし、ライブラリタブのAudio Samplesの [All Sample Loops… ] を選択し、ファイルパネルにあるサンプルをいろいろ再生しながら選びましょう。
All Sample Loopsのクレートアイコンの白い三角をクリックするとジャンル別に展開し検索も可能です。
今回はジャンル [Hip Hop] にあった「Neo E Piano」を選びました。
下の画像ように赤枠内にドラッグ&ドロップでロードします。

Serato Studioでは、初めにロードしたサンプルのキーがプロジェクトのキーに自動で反映されます。


今回のサンプルのキーは [C# マイナー]

まずは、サンプル全体をお聴きください。

ファイル名のとおり、エレピのループサンプルですね。2小節の長さになっていて、このまま使用しても問題ないですが、今回はこのサンプルを編集していきます。

2.ループサンプルを編集

  • ドラムパターンに合わせて演奏
  • お気に入りキューを設定し録音
  • サンプルパターンの音調整

ドラムパターンに合わせて演奏

左側のサンプルデッキビューには波形が表示されていて、縦の白い棒が再生ポイントとなっています。
波形をよく見みると、再生ポイントの白い棒とは別に、色付きの縦線がある箇所を確認できると思います。
これが「CUE(キュー)」です。

キューとは再生スタートポイントの目印のようなものです。
今回のサンプルは8つのキューがあらかじめ設定されていますが、読み込んだサンプルによって最初から付いているキューの数は異なります。
どのサンプルを読み込んでも、サンプルの先頭には一つ目のキュー1(パッド1)が設定されており、上の動画ではパッド1を押してサンプルの先頭から最後までを再生した状態です。

パッド1から8は、そのままPCキーボードの1から8に割り当てられているのでキーボードからキューの再生をして演奏が可能です。また、対応するDJコントローラーなどをお持ちの場合はコントローラーに搭載しているパッドで同様に演奏が可能となります。

こまかい設定は置いといて、ドラムパターンを再生しながらサンプルパターンの演奏してみたいと思います。

デフォルトで設定されたキューのみを使って演奏しています。簡単に作れそうな気がしてきませんか?

ある程度試すと “キューの1と4と3の順番に鳴らすといい感じのパターンだな” とか “2のキューはポイントが悪くて使いづらいな” といったようになんとなく自分の好きな鳴らし方がわかってくると思います。

しかし、あらかじめ設定されているキューポイントでは使いづらいポイントに設定されていることも多いので、使えるキューを設定していきましょう。

お気に入りキューを設定し録音

まずは先ほどのパターンで使用したキュー1,2,7をお気に入りとして設定しておきましょう。
お気に入りとして設定したいキューを選択した状態で、波形下のパラメータパネルの [Favorite] をクリックします。
また、お気に入りキューを設定した後に、演奏しやすいようにキューの順番を入れ替えてみましょう。

さっそくこのパターンを録音してみましょう。
録音ボタンをクリックすると1小節のプリカウント後、録音がスタートします。
今回は録音時のクオンタイズを有効にしているため、少しずれたタイミングで演奏しても指定したタイミングに合うように記録することができます。

キューのポイントは一つずつマニュアルで設定していくことも可能ですが、お気に入りのキューが見つからない場合、オートセットモードを試してみましょう。
パッド1の上に配置されている、[Find Samples] の右の白い逆三角形をクリックすると下の画像のように表示されます。

キューを設定する際に5つのオートセットモードが選択可能となります。
以下簡単に説明します。

[Find Samples]
Seratoのアルゴリズムによってサンプリングに適した箇所に設定されます。
[Set Random]
Find Samplesよりランダムな箇所にキューが設定されます。
[Serato DJ]
Serato DJで設定しているキューポイントが設定されます。
[Set Slicer]
現在の再生ポイントの位置から開始して、指定した長さの8つの連続したキューポイントが設定されます。指定した長さ以上は再生されません。(長さは1/16から16まで設定可能)
[Set Endless Slicer]
Set Slicerが指定した長さのみを再生するのに対し、Set Endless Slicerは指定の長さを超えても再生を続けます。

どのオートセットモードが良いかはサンプルに応じて人それぞれですが、面白いと思ったのは、 [Set Random] です。
Set Randomを選択し、オートセットを反映させるとお気に入りのキュー以外のキューを、ランダムな箇所に新規に設定することができます(Favoriteを設定していない場合すべてのキューが変更されます)。

サンプルパターンの音調整

ある程度キューを設定できたら、各キューの音量や鳴らし方の調整を行いましょう。

音量や音質についてはドラムパターンの時と同様に、真ん中のミキサーパネルから「右側はサンプル全体の調整」で、左側は「選択している各キューそれぞれの音の調整」となります。

今回のようにサンプルのパターンを組み替えようとすると、各キューの音量のばらつきが気になることも多くなると思います。
ゲインとボリュームフェーダーで音量の調整と、イコライザーとフィルターで音質の調整をしてまとまりが良くなるように調整を行いましょう。

ミキサーパネルの調整以外に、サンプルデッキのパラメータパネルから音の鳴り方の調整を行うことができます。

これらの調整項目は、選択しているキューそれぞれに設定が可能です。
以下簡単に説明します。

[Attack アタック] [Release リリース]
ドラムサンプルの時と同様でアタックは音の立ち上がりの速さです。リリースはキューを離した後の音量の減衰具合の調整ですが、減衰中もサンプルの再生が進むので、ループサンプルの場合は鳴らしたくないポイントが鳴ってしまわないよう調整しましょう。
[Reverse リバース]
その名のとおり逆再生です。今回のようなサンプルパターンを組み替えたりするような場合は、積極的に使ってみるとおもしろいと思います。
[Favorite お気に入り]
キューをお気に入りに設定できます。お気に入りに設定しているキューは、オートセットを反映しても上書きされません。キューをお気に入りに設定し、オートセットモードと組み合わせると効率的にキューの設定が行えます。
[Tempo テンポ]
サンプルのテンポを変更することができます。パターンを調整する際にオーディオサンプル全体ではなく、各キューのテンポを変更することができるので、柔軟な調整が行えます。
[Key Shift キーシフト]
音程を変更することができます。ワンショットのオーディオサンプルの追加時や、複数のオーディオサンプルの一部分のみ使用する場合などに変更することがあると思います。

また、今回のサンプルパターンでは、パラメータパネルにある [Reverse リバース] も試してみましょう。
リバース部分を追加したパターンを聴いてみてください。4小節目の最後にリバースしたキュー4と5を入れています。

雰囲気が変わりますね。いわゆる「サンプリング」の手法を使う場合において、サンプルの一部または全部を逆再生するリバースは意外と多く使われています。サンプルに応じていろいろ試してみると意外な発見があると思います。

同時にキューの位置を微調整もしています。波形表示の各キューを左右にドラッグすることで微調整が可能です。

次は別のサンプルを追加したいと思います。

3.ループサンプルを追加

ここまで一つのオーディオサンプルを使用してきましたが、新たにオーディオサンプルを追加してみましょう。
オーディオサンプルを追加すると、自動でプロジェクトのキーとテンポにシンクされるので、音楽理論がわからない方でも直感的に音の追加ができるのでおすすめです!

音楽理論を理解しているに越したことはないと思いますが、難しくて学ぶのを挫折した方も多いと思います。
理論を意識せずにさまざまなオーディオサンプルを追加できるのは初心者にとってありがたい機能ですね。

また、今回のドラムパターンは非常にシンプルな内容となっていますが、追加でパーカッション系のオーディオループを追加するのもおすすめです。
追加してみましょう。

音量は小さめですが、あると無いでは印象が変わります。Serato Studioに付属する音源(Sounds)にはこういったドラム系のループ素材も多くあるので、ぜひ活用してみてください。

「サンプルパターンの作成」は以上となります。

次回は「インストゥルメントの追加」をご紹介したいと思います。