REVERBといえば音楽に携わる方にとって定番のエフェクトですよね。とはいえ、「リバーブって何?」と思われる方もいるかもしれませんが、このリバーブは誰もが1度は体感したことがあると思います。例えばお風呂場で鼻歌を歌う、トンネルで声を出す、コンサートホールでの演奏など、音が響くのを感じたことはありませんか? 残響音はサウンドの雰囲気を決める重要度の高いものです。その残響をソフトウェアで作り上げることができ、録音したサウンドなどに臨場感を加えることができます。
RP-VERBの全体像を確認してみましょう
Rob Papne(ロブパペン)のRP-VERBはとてもシンプルなインターフェイスに設計されています。
※ RP-VERBはDAWソフトウェアのオーディオエフェクトにインサートし、起動します
RP-VERBにはたくさんのプリセット/Bankが含まれています。
リバーブを使用する際、プリセットがたくさん含まれているのはとても魅力的なことです。楽曲やサウンドをどんな雰囲気に仕上げるか決定する時に、プリセットから素早く選択できるので、作業効率の向上にもつながります。さらにパラメータを微調整することでお気に入りのサウンドに仕上げることができます。今回はそのパラメータを操作するための各セクションを紹介したいと思います。
RP-VERB パラメータ各セクション
Envelope(エンベロープ)
このエンベロープ・セクションは、リバーブ信号レベルやその他リバーブ・パラメータをコントロールすることができます。
エンベロープ項目内には以下のメニューがあります。
- audio control:リバーブのボリュームをコントロール(上記右画像)
- space size:リバーブのサイズをコントロール
- reverb length:リバーブの長さをコントロール
- size + length:リバーブのスペースサイズと長さをコントロール
- size + length + audio:リバーブのスペースサイズ、長さ、ボリュームをコントロール
audio controlメニュー以外の「space size」「reverb length」についてはREVERB・セクションのパラメータをコントロールすることができます。
REVERB(リバーブ)
REVERB・セクションは、RP-VERBの中核部です。スペース(広さ)やルーム・タイプなどのリバーブ音をサウンドに加えることができ、「space type」、「Colour」のリバーブのキャラクターを設定する項目があります。
Space typeは上記画像の赤枠部分の4タイプ・18種類の項目から選択することができます。
- HALL:クラシックなホールスペースです。
- ROOM:クラシックなルームサウンドです(エッジなサウンドを生成することもできます)。
- Vintage:ボーカルとlong tail reverbに最適なタイプです。
- SPACE:宇宙的サウンドを演出します。
ボーカルファイルに上記4つのタイプを使用してみました。違いを聴いてみましょう。
colour(カラー)
Colourには5つのタイプがあり、Colourで選択されたタイプによって部屋のオブジェクト(目標物、対象物)やサーフェス・タイプ(表面)によるリフレクション(反響)が異なります。つまりSpace typeで選択したタイプとColourで選択したタイプによって「REVERB」項目内のパラメータが同じであっても、音の響き方が異なると覚えていただければ問題ありません。
Ensemble(アンサンブル)
Ensemble・エフェクトは、サウンドに複雑なコーラスを加えます。ボーカル・トラックに特に効果的です。RP-VERBオーディオ・チェーンでは、Ensembleはセカンド・エフェクトとなります。
比較のため、パラメータ変更前と変更後のサウンドを聴き比べてみましょう。
元のサウンド
Ensemble・エフェクト
Distortion(ディストーション)
チューブ・サチュレーション・ディストーションをシミュレーションするウェーブ・シェーパー・エフェクトを通して信号を送信することにより、ディストーション・サウンドを作ります。これはドラムなどに特に効果的で、「奇妙な」ディストートされたリバーブとルームを作り出すことができます。
下記の動画はRob Papen PUNCHで作成したドラムサウンドとボーカルに「Distortion」をかけたサウンドです。この動画では「REVERB」セクションの「reverb length」「Space Size」のパラメータ数値を変更しています。
Early reflections(アーリー・リフレクション)
Early reflectionsは、特定のルーム・タイプとスペースでのハード・サーフェス・リフレクションによって生じる複雑なディレイのセットです。Early reflectionsはリバーブ・パートが始まる前に聞こえるサウンドです。Early reflectionsのボリューム、パターン、ポジショニングは、シミュレートされる部屋の形状、リスナーの位置、部屋の壁と天井の表面材質に左右されます。
Direct : Early reflectionsは、リバーブに入らずに直接出力します。
into reverb:Early reflectionsはリバーブに送られますが、この設定は一般的には使用されません。
Early reflectionsのLengthとdamp (damping) のパラメータ数値を変更することで変化の違いを確認しやすいので、この2つのパラメータを変更し、サウンドを聴き比べてみましょう。
length : Early reflectionsのディレイ・タイム/長さを調整します。
damping : Early reflectionsの高周波帯を弱めます。カーペットやカーテンのような室内の柔らかい素材に影響される高周波帯を弱めます。
Late reflections(レート・リフレクション)
Late reflectionsは、特定のスペースまたはルーム・タイプで聞かれる、より長いディレイ・リフレクションを加えます。
Volume:Late reflectionsのボリュームを決定します。
Length:原音に対してのディレイ・タイムを調整します。
Damping: Early reflectionsで解説した内容と同じです。
Late reflectionsのみでもディレイ効果を感じられますが、Early reflectionsと組み合わせるとより効果的です。
Equalizer(イコライザ)
RP-VERBには、独自の高品質内蔵3バンドEQが搭載しており、各セクション (Distortion / Ensemble、Reverb / Late Reflection) に信号が入る前にEQ処理を行います。
「post audio」のデフォルト設定はオフですので、Equalizerを有効にするためにはオンに設定し、各セクションのいずれかが有効に設定されている必要があります。
周波数値の変更ではなく「db」の増減ですので、使用するサウンドファイルにあわせて「Low」「Mid」「High」のパラメータ数値を調整してください。
以上、RP-VERBの各セクションの紹介でした。
即戦力エフェクトとして
ほとんどのDAWソフトウェアには予めリバーブは搭載されていますので、新たにリバーブを購入する必要があるのかな?と疑問に思われる方もいるかもしれません。
RP-VERBは今回ご紹介したように複数のセクションに分かれています。1つの例ではありますが、RP-VERBに搭載されている「Distortion」と「REVERB」セクションの2つを組み合わせるだけでも、元となるサウンドファイルに大きな変化をつけることができました。各セクションの組み合わせによっては、様々なサウンドを作ることができるので、他とは違ったリバーブ、2つ目のリバーブとしてRP-VERBをみなさんの楽曲制作などで即戦力エフェクトとしてぜひ使ってみてください。
また、LIVEでの演奏の際にコンピュータを持ち込む方も増えてきています。例えば、DAWソフトウェアで作成した曲にあわせて演奏者(ボーカル、ギターなど)がリアルタイムでプレイする。アンプ(ギター、ベース)、ハードエフェクターの代わりにDAWソフトウェア内のエフェクトを使用するなど、さまざまなシーンで活用することも可能です。
Preset / Bankの項目で少し触れましたが、RP-VERBにはたくさんのプリセットが含まれております。プリセットはお手本のように参考にすることができますので、これから音楽制作を始める方、楽曲作成の経験はあるがミックスは未経験という方にも、すぐにご活用いただけます。
※「RP-VERB」は「eXplorer II」のバンドル製品