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Rob Papen “SOUND SHOWCASE” – vol.3

第3回:QUAD & Vecto

Rob Papenの各製品を使用したデモトラックによる製品の魅力を紹介する本シリーズですが、今回はQUADとVectoを両方使用してデモトラックを作成してみました。

図1:デモトラックを制作したCUBASEのメインスクリーン

QUADとVectoのプリセットを使用したデモトラック

今回作成したデモトラックでは、QUADを5台、Vectoは7台使用して作成しました。今回もこれまで同様にプリセットは音色によってエフェクトやエンベロープなどを調整を行なっていますが、極力エディット無しで使用しています。

デモトラック中で使用したプリセット名と曲中のパートは以下のとおりです。

Vecto

BD KiCK4-Odd

キックのトラックで使用。

DuhGruv JoMal

冒頭からほぼ全編で通奏しているシーケンスフレーズで使用。

GrainyGruv JoMal

冒頭からほぼ全編で通奏しているパーカッションループで使用。前述の「DuhGruv JoMal」と組み合わせて一つの演奏に仕立てています。

Rain goes round

1分03秒ぐらいからバックグラウンドで聴こえるクワイアとパッドを組み合わせた音色。元の状態からリリースをやや短くエディットしています。

DRM Snare1-Odd

スネアドラムのワンショット音色。「BD KiCK4-Odd」と組み合わせてドラムトラックとなるように打ち込んで使用しています。

Hizz voice lead

Bメロ部分のメロディパートで使用しているシンセボイス風のリード音色。

Tzing Lead

柔らかい質感のシンセボイスとシンセパッドを組み合わせた音色。「Hizz voice lead」の中域成分の補強としてBメロ部分のメロディパートで使用しています。

QUAD

Pluck the wind Did

冒頭から演奏しているやや左にパンしたコードバッキングで使用。

TizeDig Bass Arp

QUADの太いサウンドを活かしたシンセベース音色。通奏するベースパートで使用。

Tubus 2 FX

LFOによる変調が効果的に使用されたパッド音色。冒頭などにおいてバックに漂う感じで効果音的に使用。

Brittle Dream Did

エレピとパッドを組み合わせたような音色。「Rain goes round」と同じく1分03秒ぐらいから聴こえるやや右にパンしたバッキングで使用。

LD LuvParade-Odd

アナログシンセのようなファットで音圧感のあるシンセリード音色。Aメロ部分で使用しています。

デモトラック制作における実際の使用感

両者ともにサウンドの傾向は共通するものがありながらもQUADはアナログシンセ風の太いサウンド、Vectoはエッジの効いたデジタルシンセ風の音色変化を得意とするサウンドという印象を改めて感じました。

QUADとVectoを比較してみると、両者とも似通ったサウンド傾向の部分はありますが、オシレーターに内蔵されている波形の種類の違いや変調のしくみが大きく異なります。

図2:QUADのオシレーターセクション部分
図3:Vectoのオシレーターセクション部分

サウンドメイクにおいては、オシレーター周りをしっかりと作り込むことによってそれぞれの特性を活かして使用することができるでしょう。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。