Numa Compact 2の使い方とTIPS
Studiologic Numa Compact 2の使い方・TIPSを機能ごとに紹介していくこのコーナー
基本操作はNuma Compact 2シリーズ共通なので、Numa Compact 2xをご検討中の方、お持ちの方にもご覧いただけますと幸いです。
第3回目はNuma Compact 2のレイヤー・スプリット機能についてご紹介します。
レイヤーとは:
複数の音色が重ねて演奏ができる機能を一般的にレイヤー機能と呼ばれます。
Numa Compact 2は2つの音色を重ねて演奏ができます。
片手でユニゾンのフレーズを演奏したり、異なる音色を重ねることで音に厚みを持たせたりすることができます。
スプリットとは:
高音域と低音域で異なる音色を演奏できる機能をスプリット機能と呼ばれます。
Numa Compact 2は2つの音色を高音域と低音域で2つの音色を演奏できます。
1人で2つのパートを同時に演奏したり、同じ音色を並んで2人で演奏するときに使います。
今回はNuma Compact 2でのレイヤーサウンド・スプリットサウンドの設定方法ついて解説していきます。
レイヤー、スプリットそれぞれの設定方法
レイヤーモードにするには
液晶の下に「UPPER」「LOWER」のボタンがあります。
1音色のみの場合は、UPPERだけ点灯している状態
レイヤーの場合は、UPPER、LOWER共に点灯している状態
ランプが点いている:ON、消えている:OFF、とても分かりやすいですね。
そして、両方のランプがついている状態がレイヤーモードです。
スプリットモードにするには
レイヤーモードの状態で、エンコーダー下の「SPLIT」ボタンを押します。
初期設定では、C4(本体中央のCキー)のポイントで、高音域と低音域で音色が分かれます。
ディスプレイの表示
上段の部分(P01-GRAND PNOと表示されている部分)がプログラム名(音色のセット)、
下段の左側がLower、右側がUpperの音色やボリュームなどの値の表示になります。この画像では、LowerにStrings1の音色が、UpperにConcertがアサインされ、それぞれボリュームがLower:80、Upper:120などが読み取れます。
液晶の表示で白く反転している個所が、エンコーダー(液晶右の大きいつまみ)で操作ができるようになっています。このエンコーダーを押すことで、
プログラム → Upper → Lower
と選択している個所を順番に変更できます。
プログラムの場合は、この画面でエンコーダーを回して、プログラムの選択、Upper / Lowerの欄ではそれぞれのボリュームが操作できます。
プログラムのエディット
プログラム・エディットの各ページを簡単にご説明します。プログラム・エディットは、計3ページあります(ファームウェアv.1.2.0時点)。
プログラムが選択されている状態で液晶の左横にある「EDIT」ボタンを押してみましょう。
PROGRAM EDIT [1/3] – ページ1:PROGRAM NAME(プログラムの名前)
プログラムの名前を付けます。エンコーダーで文字入力ができます。
エンコーダーを回して文字選択、押すと隣に送られます。
こんな感じです。
PROGRAM EDIT [2/3] – ページ2:SPLIT POINT(スプリット・ポイント)
スプリットでこのキーの高域・低域でUpper・Lowerを分けて演奏ができるようになります。
通常はC4(液晶下部のCキー)に設定されてます。半音単位で設定できるので好みのポイントで設定しましょう。
PROGRAM EDIT [3/3] – ページ3:MIXER(ミキサー)
各パートの音量を設定・確認できます。
上段のLower / Upperが、それぞれLowerパート、Upperパートのボリュームになります。
下段のZone A / Zone Bは、外部機器用のパートのボリュームになります。
パートのエディット
次に、パート・エディットの各ページを簡単にご説明します。パート・エディットは、計10ページあります(ファームウェアv.1.2.0時点)。
UpperもしくはLowerが選択されている状態で液晶の左横にある「EDIT」ボタンを押してみましょう。
画面にPART EDITと表示されると思います。
先ほどと同じく、白く反転している部分がエンコーダーで操作できます。
PART EDIT [1/10] – ページ1:VOLUME(ボリューム)
各パートの音量を設定します。
レイヤーサウンドを作る時のコツですが、重ねる音色はメインの音色の2/3ぐらいがちょうどいい感じになります。
スプリットサウンドの時は同じぐらいの音量にすることが多いです。
PART EDIT [2/10] – ページ2:SPLIT ASSIGN(スプリットアサイン)
各パートでスプリットの設定をしたときに各パートを右側(= TO RIHGT / 高音域)、左側(= TO LEFT / 低音域)、全域(= TO ALL)にするか設定できます。
例えば、ピアノの音色で高域だけパッドサウンドを追加したいなんてときはここを設定します。
PART EDIT [3/10] – ページ3:TRANSPOSE(トランスポーズ)
各パートで演奏するキーを設定します。
カラオケのキーコントロールと同じと考えると分かりやすいです。
PART EDIT [4/10] – ページ4:OCTAVE(オクターブ)
各パート毎のオクターブを設定します。
先ほどのトランスポーズのオクターブ版です。
+にすればオクターブで高くなり、-にすれば低くなります。
PART EDIT [5/10] – ページ5:REV SEND(リバーブセンド)
リバーブのかかり具合を各パートで調整したいときはここで調整します。
PART EDIT [6/10] – ページ6:PEDAL 1(ペダル1)
PART EDIT [7/10] – ページ7:PEDAL 2(ペダル2)
各パートのペダル1、2を有効にするか設定します。
こんな音色を作る時はここで設定をしましょう。
- ピアノを演奏しながらペダルで徐々にストリングスを足していくようなレイヤーサウンド
- シンセパッド系の音色でロングトーンを演奏しつつ、シンセリードでソロフレーズの演奏をする場合
PART EDIT [8/10] – ページ8:STICK 1(スティック1)
PART EDIT [9/10] – ページ9:STICK 2(スティック2)
各パートのスティック1、2を有効にするか設定します。
スティック1は、ピッチベンド(通常の設定だと、左に動かすと2半音下がり、右に動かすと2半音上がります)
スティック2は、通常の設定だとエフェクトのコントロールに使用します。
PART EDIT [10/10] – ページ10:A.TOUCH(アフタータッチ)
各パートのアフタータッチを有効にするか設定します。
アフタータッチとは、鍵盤を弾いた後にさらに鍵盤を押し込むことで音色を変化させることが出来る機能です。
高額帯のシンセサイザーには必ずと言っていいほど付いている機能ですが、Numa Compact 2の価格帯の機種に付いているのは珍しいです。
Numa Compact 2の場合は押し込むとビブラートのような効果が得られます。
設定を終了するときは「EDIT」を押すと元の画面に戻ります。
各ページの説明がだいぶ長くなってしまいましたが(ある意味トリセツっぽい)、これで音色の設定はおしまいです。
作ってみよう
先ほどの設定方法を踏まえ、実際に音色を設定してみましょう。まずはレイヤーサウンドのサンプルです。
J-POPでよく耳にするピアノとストリングスのレイヤーサウンド
設定
- 音色:Upper = Concert Grand / Lower = Strings1
- VOLUME:Upper = 120 / Lower = 80
- PEDAL 1:LowerだけON
よく聞く「あの音」が再現できたと思います。
エクスプレッションペダルを踏み込めば、演奏しながら徐々にストリングスを音を足していく演出も出来ます。
オクターブでレイヤーすると分厚いシンセリードサウンド
応用編で同じ音色を重ねたレイヤーサウンドをご紹介します。
シンセリード系の音色の分厚いリードサウンドが簡単に作れます。
設定
- 音色:Upper = Soloist / Lower = Soloist
- OCTAVE:Upper = 0 / Lower = -1
- A.TOUCH:Upper / Lower共にON
分厚い迫力のあるリードサウンドが作れました。
演奏しながら鍵盤を押し込むことでビブラートが掛かるので、より気持ちよく感情的に演奏できると思います。
続いて、スプリットサウンドのサンプルです。
1人ジャズセッション!
設定
- 音色:Upper = Concert Grand / Lower = Bassride1
- VOLUME:Upper = 120 / Lower = 120
- PEDAL 1:UpperだけON
SPLITをオンにするだけで、右手でピアノ、左手でベースが演奏できると思います。
Bassrideの音色にすることで左手で弾くたびにライドシンバルが鳴るのでジャズっぽい感じがしますね。
ツイン・ピアノ
設定
- 音色:Upper = 任意のピアノ / Lower = 任意のピアノ
- OCTAVE:Upper = -2 / Lower = +2
こちらもこの状態でSPLITをオンにすると、Upper、Lowerで同じ音域になります。これで2人並んで演奏することができます(いわゆるツイン・ピアノ、あるいは4ハンドと呼ばれている機能)。
ライブなどで音色の切り替えが忙しくなるようなシーンで、2つの音色を行ったり来たりするとき、UpperとLowerでそれぞれの音色を設定しておくと便利ですよ。
レイヤーとスプリットを両方組み合わせた音色
設定
- SPLIT:ON
- SPLIT POINT:C5
- SPLIT ASSIGN:Lower = TO ALL
- 音色:Upper = Strings1 / Lower = Concert Gran
高音域だけストリングスレイヤーのあるピアノサウンドが出来ました。
低音域はレイヤーされないので、すっきりした印象の音色だと思います。
最後に氏家克典氏によるNuma Compact 2のレイヤー・スプリットサウンドのデモ演奏をご覧ください。
皆さんもぜひいろいろな音色でレイヤー・スプリットサウンドを試してみてください。