昨年末2012年12月29日に渋谷の大箱クラブWOMBにて「大ネットレーベル祭」というイベントが開催されました。「ネットレーベル」の存在は以前から知っていましたが、ついにWOMBで大規模なイベントをするまでになったのか!と驚き、改めてネットレーベルについて皆さまにご紹介してみようと考えました。とてもマニアックなイメージをもたれている方もいるかもしれませんが、最近確実にその存在を大きくしている「ネットレーベル」。全くご存知でない方もこの音楽流通スタイルには新しい発見が多くありますので、ぜひ最後までご覧ください!
「レーベル」とは?
皆さまはアーティストの所属「レーベル」を意識したことはあるでしょうか?インディーズからメジャーまで、あらゆるアーティストが「レーベル」と言われる団体(会社)に所属し音源をリリースしています。その「レーベル」はある程度一定のイメージを共有しブランド力をつけていたりしますね。
例えば、私の好きなドイツの音楽レーベル「raster-noton」。最初はそこに所属するアーティストが好きだったのですが、同じレーベルのアーティストの音楽を聴いてみるとどれもステキ!ということで今ではすっかり「raster-noton」という名前のつくCDはすぐ買ってしまいます。皆さんもそんな経験あるのではないでしょうか?
このような音楽レーベルは日本の音楽シーンにもたくさん存在します。ほとんどがインディーズと言われる大手レコード会社に所属していない小さな団体ですが、私がお気に入りの大手CDショップに行くと、「あの○○レーベルから期待の新人リリース!」と書いたポップが多くみられます。
「ネットレーベル」とは??
このような環境で「音楽レーベル」というものを身近に感じていましたが、ある日聞き慣れない言葉を耳にしました。
「ネットレーベルが熱い!」
初めてその単語を聞いたときは「ネットレーベル」?? 普通の音楽「レーベル」とは違うのか?ととても疑問に思いました。
「ネットレーベル」とは・・
オンライン上に存在する個人または少人数で運営しているレコードレーベル。基本的にほとんどが「クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)」のもと、インターネットを通じて無料で音楽をダウンロードリリースしている。
つまりは音楽を販売しているのではなく、ダウンロードしてもらい共有することを目的としたレーベルのことです。
▶ Go-qualia(Bunkai-Kei Records)
ただの素人集団だと思うなかれ! その楽曲やアートワークのクオリティの高さはCDをリリース販売しているアーティストと何ら変わりありません。むしろ最近では通常の音楽レーベルからリリースしているアーティストがネットレーベルのリリースに参加していたります。
これはWikipediaの文中にもありますが、近年コンピュータによって音楽を作るアマチュアミュージシャンが増加&クオリティも上昇、さらにインターネットで発信することがより身近になった結果であると思います。その特性からかジャンルは電子音楽に特化したものがほとんどですが、具体的にどのようなレーベルがあるのか、下記に代表的なものをご紹介してみます。たくさんの作品が発信されていますのでぜひのぞいてみてください。
【代表的なネットレーベル】
- Maltine Records
日本を代表するネットレーベル。2005年、当時15歳の高校1年生が始めたネットレーベルで、今では数多くのアーティストの作品をリリースをしイベントも開催。ダンスミュージックを中心に独自のファンを獲得している。 - Bunkai-Kei records
エレクトロニカ / IDM / アンビエントなどの楽曲を中心に扱うオンライン・レーベル。柔らかくキレイなイメージのアートワークが印象的で、ust配信やイベントも多数開催。 - on sunday recordings
“日曜大工に勤しむように自由な発想で音楽を作る”をテーマに、エレクトロニカやアンビエントなどの電子音楽を通して、日常のBGMになるような生活に根ざした音楽を発信していくネットレーベル。bandcampを使用し「0円」で購入またはそれ以上で寄付するという仕組み。 - ALTIMA Records
北海道のネットレーベル。ダンス・ミュージック/エレクトロニカ/電子音楽系のネットレーベル。 - セラミックレコーズ
シンプルでおしゃれなアートワークが目を引くレーベル。幅広いジャンルを取り扱っている。 - W Record
日本最大の音楽チャンネル スペースシャワーTVがプロデュースする渋谷のライブハウス「WWW」が新しく立ち上げた話題のネットレーベル。
この他にもネットレーベルは無数に存在します。今までsoundcloudやbandcampなどで楽曲を発表していても一人だけだとなかなか再生してもらえない、、という方はこれらのレーベルに参加して発表の場を広げるのも良いかもしれませんね。
下記の曲はMaltine Recordsからリリースもしている「tofubeats & Onomatope Daijin」さんの楽曲です。
メロウでとても安らぎます。
▶ tofubeats & Onomatope Daijin – Suisei (practice) 水星(練習)
数年前まではあまり耳にしなかった「ネットレーベル」たちも、今では通常の音楽レーベル以上の知名度を持ち、大きなイベントを開催したり、数多くのイベントでその名前をみかけるようになりました。
私は約2年前、縁がありMaltine Recordsのイベントを観る機会がありましたが、とても強い熱気とパワーで活気に満ちた良いイベントだったのを覚えています。
- YouTube動画:Maltine Records主催「THE☆荒川智則」at 代官山UNIT
クリエイティブ・コモンズ・ライセンス(CCライセンス)
さて、最後まであえてふれませんでしたが、これらのネットレーベルのほとんどが「クリエイティブ・コモンズ」のライセンス下でデータを配信しています。聞き慣れない言葉かもしれませんが、これは著作者自ら意思表示をする、インターネット時代のための新しい著作権ルールのことです。
今月のSound & Recording(Reloopのモニタースピーカー「Wave 5」のレビューも絶賛掲載中!)にも「このクリエイティブ・コモンズ」についてとても分かりやすい特別企画が掲載されていますね。
「この条件を守れば私の作品を自由に使って良いですよ」
といったルールらしく、とても興味深く、気になります。
ということで次回はわたしも勉強しながらクリエイティブ・コモンズ・ライセンスについて皆さまにご紹介してみたいと思います。
投稿者:Web U
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