(2014/11/07)
Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。
前回はオートメーションを使ったボーカル処理をご紹介しました。
ボーカルにコンプレッサーをかけると、音圧は上がりますが、ダイナミクスが失われてしまいます。
ダイナミクスが失われると、単調な印象になってしまい、聴こえ方が大きく変わってしまいます。
ボーカルトラックのボリューム・オートメーションを書くことで、このコンプによって失われたダイナミクスを取り戻すことができるということが、前回の内容でした。
これにより音圧は高く、きちんとダイナミクスもあるボーカル・トラックに仕上げることができます。
今回は、このオートメーションを掘り下げてみましょう。
プラグインのパラメータをMIDIコントローラへアサイン
前回は、ボーカル・トラックのボリューム・オートメーションをマウスで書きました。
マウスでオートメーションを書くと、狙ったポイントへ狙った値を正確に書くことができますが、その分ポイントをたくさん書かなければ、不自然な変化になってしまいます。
また、マウスで書くと画面を見ながらの作業になっていしまうため、耳からの情報ではなく、目からの情報に頼ってしまうこともあります。
これらの対応策としては、MIDIコントローラーを使用する方法があります。
今回はMIDIコントローラーを使用して、オートメーションを書く方法をお伝えしたいと思います。
まずMIDIコントローラーをコンピュータに接続します。今回はReloop keyfadrを使用します。
keyfadrのフェーダーでボリュームをコントロールできれば、画面を見ずに耳だけで作業を行うことができます。
では、前回と同じくボーカル・トラックへオートメーションを書いていきましょう。使用する音源は、以下の音源です。
[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/tracks/175728319″ params=”color=ff5500&auto_play=false&hide_related=false&show_comments=true&show_user=true&show_reposts=false” width=”100%” height=”166″ iframe=”true” /]
このボーカル・トラックへコンプをかけたものが、以下音源です。
[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/tracks/175728487″ params=”color=ff5500&auto_play=false&hide_related=false&show_comments=true&show_user=true&show_reposts=false” width=”100%” height=”166″ iframe=”true” /]
ボーカル・トラックの後段へ、EQをインサートしています。しかし、使用するパラメータはアウトプット・ゲインだけで、EQによる周波数変化は一切行いません。
このEQのアウトプット・ゲインへkeyfadrのフェーダーをアサインします。
※何故、アウトプット・ゲインへアサインするのかは後ほど説明します。
アサイン方法はボーカル・トラックのオートメーション・レーンを表示し、Acousticaイコライザー / MIDIコントローラーをクリックします。
そうすると以下の画面が表示されるので、MIDIの自動検知をクリック、アウトプット・ゲインをクリックします。
その後、アサインさせたいkeyfadrのフェーダーを操作してMIDI信号を送信することで、CC項目に数字が表示されます。これでkeyfadrへのアサインは完了です。
自動検知の停止をクリックし、閉じるボタンで終了してください。
この状態で録音を開始し、アサインを行ったフェーダーを動かすことで、オートメーションが以下のように書き込まれます。
前回マウスでオートメーションを書いた時とは異なり、多くのポイントが書かれ、曲線的なカーブに仕上がっています。
マウスでもこのカーブは表現可能ですが、作業スピードを考えれば、圧倒的にMIDIコントローラーを使用した方が便利です。
ちなみに、音源は以下のように仕上がりました。
[soundcloud url=”https://api.soundcloud.com/tracks/175728743″ params=”color=ff5500&auto_play=false&hide_related=false&show_comments=true&show_user=true&show_reposts=false” width=”100%” height=”166″ iframe=”true” /]
ボーカル・トラックのような繊細なボリューム調整が求められる作業では、MIDIコントローラーを使用した方が自然な仕上がりになると思います。
また、オートメーションを書いたパラメータは、常にオートメーション通りに変化してしまうため、あとで「全体的なボリュームを少しあげたい」というような場合、非常に大変な作業になってしまいます。
今回はイコライザーのアウトプットゲインでボリューム調整を行っているため、ミキサーのフェーダーはフリーです。
そのため、ボーカル・トラックの全体的な音量を少し上げる、下げるといった場合には、ミキサーのフェーダーを使用しましょう!
オートメーションは、あらゆる場面で使用します。
オートメーションの効率化は、全体の作業効率アップに繋がりますので、MIDIコントローラーは積極的に活用しましょう。
それでは!
- 前回記事:オートメーションの重要性
- 次回記事:マスタリングとオートメーションの関係性