(2014/09/26)
Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。連載を一新してからは、マスタリングを取り上げています。
本連載もついに20回目を迎えました。マスタリングに関する様々な内容をお伝えしてきましたが、ここ数回は理路的なお話になってしまったので、Vol.18からコンプレッサーを取り上げています。
コンプレッサーは、Mixcraft連載で何度も取り上げてきたエフェクターですが、奥が深いエフェクターなので、お伝えしたいことがまだ伝え切れていません。(あと、私が個人的にコンプレッサーが好きということも、何度も取り上げている原因の1つです笑)
前回は、コンプレッサーと並んで使用頻度の高いエフェクトである「EQ」と「コンプレッサー」の組み合わせについてお話しました。具体的には、それぞれのエフェクトをインサートする順番です。「コンプレッサーが先か?EQが先か?」というお話です。
EQ → コンプという順番の場合は前回ご説明したため、今回はコンプ → EQという順番です。
コンプ → EQ
コンプ → EQという順番でインサートした場合の利点として、
- コンプレッサーをかけたことで変化してしまった音質をEQで補正できる
という1点に絞られるのではないでしょうか。これは利点というより、EQをインサートする目的と言えます。
前回もご説明しましたが、コンプレッサーをインサートすると、高域が削られると言われています。(これは、使用するコンプレッサーや、その設定によって変化します。)
では、コンプレッサーを使用すると、どのような音質変化が生じるか確認してみましょう。
以下の音源は、エフェクトなし → コンプレッサー適用後 → エフェクトなし → コンプレッサー適用後という順番で流れます。
いかがでしょうか?たしかにコンプレッサーを適用すると、音が少しこもって聴こえます。
さらにこの音質変化をはっきりさせるため、Voxengo Spectrum Analyzerで見比べてみました。
Voxengo Spectrum Analyzerでも、コンプレッサー適用後は高域が下がっていることが確認できます。
コンプレッサーで音を圧縮するということは、波形を変化させているため、音質変化は自然な現象と言えますね。
しかし、音質が変化したままでは困るので、この音質変化を修正するために必要なものがEQです。
先ほどの音源に対し、コンプレッサー → EQという順番でエフェクトをインサートしました。EQの設定は、以下の通りです。
では、EQによる補正前と補正後の音質を比較してみます。
コンプレッサー適用後 → コンプレッサー&EQ適用後 → コンプレッサー適用後 → コンプレッサー&EQ適用後という順番で流れます。
コンプレッサー → EQという順番でエフェクトをインサートすることで、コンプレッサーで音圧を稼ぎながら、EQで補正を行うことで、元の音質を保つことができます。
また、EQを後段にインサートしていることで、最終的な音色作りも行うことが出来ます。
このように、コンプ → EQ、EQ → コンプとそれぞれ利点がありますが、また、これら2つの利点を生かしたEQ → コンプ → EQというインサート順もあります。
これについての解説は、次回に行います。それでは!