(2014/09/12)
Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。連載を一新してからは、マスタリングを取り上げています。
ここ数回は、すっかり理論的なお話ばかりになってしまったので、実践的なお話に戻ります。
今回は、コンプレッサーについて取り上げます。コンプレッサーとマスタリングの関係性は、Mixcraftマスタリング解説第4回でもお話ししました。
みなさんが気になるであろう音圧に、直接関係してくるエフェクトでありますが、かけすぎてしまうとダイナミクスが失われてしまうという使い方が難しいエフェクトでもあります。
では、コンプレッサーの奥深さをさらに味わっていただくためにも、今回はコンプレッサーのセッティングによる変化についてお話したいと思います。
アタック/リリースによる音質変化
コンプレッサーの主なパラメータは、以下の5つです。
※パラメータの更なる詳細は、Mixcraft 6で音と映像をミックス Vol.16!をご参照ください。
スレッショルド | :音量の大小の境目を設定します。 |
レシオ | :どの程度音を圧縮するかを設定します。 |
アタック | :入力音がスレッショルドを上回ってから、圧縮が開始されるまでの時間を設定します。 |
リリース | :入力音がスレッショルドを下回ってから、圧縮が解除されるまでの時間を設定します。 |
ゲイン | :圧縮を行った分、音量を上げるパラメータです。 |
これらパラメータの中で、とても分かりにくいと言われているものが、「アタック」と「リリース」です。圧縮の開始と解除を司る重要なパラメータですが、変化を感じにくく、効果的な使い方が分からないという声をよく聞きます。
しかし、楽曲のタイム感であったり、聴こえ方のニュアンスをコントロールする重要なパラメータですので、ぜひマスターしたいです。今回は、この「アタック」と「リリース」の調整をメインにコンプレッサーをかけていきます。
まずは、コンプレッサーをかける前の音源をお聴きください。今回は、「アタック」「リリース」の効果をはっきり感じていただきたいため、ドラム・パターンをマスター音源として用意しました。
- マスター音源
このマスター音源にコンプレッサーをかけていきます。
最初の設定は、「アタック、リリースともに早い設定」です。
アタック、リリースを早く設定することで、入力音がスレッショルドを超えた時点ですぐに圧縮が始まり、スレッショルドを下回った時点で圧縮が解除されます。また、スレッショルドを浅くかけているため、音量が出っ張っている部分(音のアタックと言います)だけにコンプレッサーがかかるため、音の一体感が増します。図で表現すると、以下のようなイメージです。
一体感が出ることで、「パキっ」とした固い音に変化してきます。これは、リズムが強調されている楽曲に対して効果的な設定だと思います。これらのことを踏まえて、コンプレッサーがかかった音源をお聴きください。
※これらの変化はとても繊細なため、音源のご試聴はヘッドフォンやモニター・スピーカーをご使用ください。また、マスター音源との変化をより感じていただくためにも、最初はマスター音源が流れ、その後コンプレッサーがかかった音源が流れます。
- アタック、リリースが早い設定のコンプレッサー
次は、「アタック、リリースともに遅い設定」です。
アタック、リリースを遅くすると、入力音がスレッショルドを超えたり、下回っても、圧縮の開始・解除までに時間差が生じます。そうすることで、本来音が持っているアタックを損なわず、胴なり部分を圧縮できます。イメージとしては、以下の図の通りです。
では、コンプレッサーがかかった音源をお聴きください。特にキックの音に注意して聴いてみてください。
- アタック、リリースが遅い設定のコンプレッサー
先ほどとは異なり、音の余韻が強調されて聴こえたのではないでしょうか?
このように、アタック、リリースは聴こえ方のニュアンスを左右する重要なパラメータです。コンプレッサー自体使い方が難しく、その中でもアタック、リリースは難しいとされていますが、音にスパイスを与えるという意味では欠かせません。
今回の記事をきっかけに、コンプレッサーのアタック、リリースに改めて注目してみてください。
それでは!