(2014/08/1)
Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。連載を一新してからは、マスタリングを取り上げています。
前回は、マスタリング行程で使用頻度が高いエフェクトである、マルチバンド・コンプレッサーの概要をお伝えいたしました。
マルチバンド・コンプレッサーと、シングルバンド(通常)のコンプレッサーの働きの違いは、周波数帯域ごとに音の圧縮をかけられる点です。この「周波数帯域ごとへの音の圧縮」にイメージがわかない方は、前回のMixcraftで、マスタリングを始めよう!【Part.11】をご参照ください。
今回は、実際の音源にマルチバンド・コンプレッサーをかけていきます。
マルチバンド・コンプレッサーを使って、音圧アップ!
今回使用する音源ですが、ギター、ベース、ドラムというシンプルなバンド構成の音源です。
ちなみに、この音源の周波数特性がどうなっているかを、Voxengo Spectrum Analyzerで確認しました。
▼Voxengo Spectrum Analyzerで確認
2kHzから5kHz付近で盛り上がり、低域、高域部分での落ち込みが確認できます。
ちなみに、ミックス、マスタリングを行うにあたって、音質の参考にする楽曲のことを「リファレンス曲」と言いますが、今回マルチバンド・コンプレッサーを使用するにあたり、リファレンス曲を用意しています。
このリファレンス曲をVoxengo Spectrum Analyzerにかけると、以下のような周波数特性を示しました。
▼リファレンス曲をVSAでチェック
両者には明らかな違いがありますね。このように、リファレンス曲の周波数帯域をグラフ化すると、目指す音質の指標になります。
ただし、最終的な判断は自分の耳で行いましょう!周波数特性が自分の理想の形を示していなくても、耳で聞いていい音質と判断すれば、そちらが正解だと思います。
それでは、早速マルチバンド・コンプレッサーをかけていきます。前回ご紹介したBroadcast Multiband Compressor(以下BMC)を使用します。
▼Broadcast Multiband Compressor
BMCは、低域、中域、高域というように周波数帯域を3つに分けてコンプレッションを行います。
▼各バンドごとに設定を行う
これらの周波数帯域ですが、BMCのX1、X2の値を操作することで変更可能です。
▼周波数ごとの値の変化
また、下の画像赤枠部分は、「音をどの程度圧縮しているか?」ということを表しています。初めのうちは、耳だけで音の圧縮を判断することは難しいため、このような視覚情報を上手く活用してください。
▼圧縮量を視覚的にも判断する
それでは、冒頭の音源にマルチバンド・コンプレッサーを適用した音源を聴いていただきます。
マルチバンド・コンプレッサーの効果を判断しやすいよう、下記の音源は、前半がマルチバンド・コンプレッサー適用前、後半にマルチバンド・コンプレッサー後の音源が流れます。
マルチバンド・コンプレッサー1つだけでマスタリングを行うことはほとんどないかと思いますが、マルチバンド・コンプレッサーが大きな武器になることを感じていただけだでしょうか?
マルチバンド・コンプレッサーが初めからバンドルされているDAWは少ないと思いますので、Mixcraft Pro Studio 6をお持ちの方は、マスタリングにBroadcast Multiband Compressorを活用し、ご自身の楽曲に磨きをかけてください。
それでは、来週もお楽しみに!
- 前回記事:マルチバンド・コンプレッサーとは何か?その使用法は?
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