(2014/03/07)
楽曲制作を通して、Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。今回は空間系エフェクトとしては最後となる、「フェイザー」をご紹介いたします。
フェイザーとは?
フェイザーとは、以前ご紹介したフランジャーと似た働きを持つエフェクトで、音に揺れ・広がりを与えます。元々は、ハモンドオルガンなどで使用されるロータリースピーカーの効果を得るために開発されましたが、結果的には独特の音の揺れ、広がりが魅力のエフェクトです。
実際に効果を確かめてみましょう。
※以下の音源は、前半の4小節はエフェクトがかかっていないギターフレーズ、後半の4小節はフェイザーがかかったギターフレーズです。
上の音源をお聴きいただいて、フランジャーの効果に似ていると思いませんでしたか?
フランジャーの効果と聴き比べていただくために、先ほどの音源にフランジャーをかけてみました。
以下の音源は、前半の4小節はフェイザーがかかったギターフレーズ、後半の4小節はフランジャーがかかったギターフレーズが流れます。
このようにフランジャーとフェイザーは、非常に似通った効果を持つエフェクトですが、二つのエフェクトは原理が異なります。
フェイザーの原理
フェイザーは、特殊なフィルタを用いて、位相をズラした音を原音にミックスすることで、音に揺れや広がりを与えます。
そのためフェイザーは、フェイズシフター(フェイズ=位相、シフター=変えるもの)とも呼ばれました。
これらの働きを図に表すと、以下の通りです。
フランジャーと違う点として、フランジャーは“原音”と”ディレイによって遅らせた音”をミックスしていました。
原音 + “ディレイによって遅らせた音”なのか、原音 + “位相をズラした音”なのかで、音の周波数特性は以下のように変化します。
フランジャーもフェイザーも、ある周波数帯域がカットされていることは共通していますが、カットのされ方が異なりますね。
これらが、フランジャーとフェイザーの音の違いになっています。
そしてフェイザーは、以下の赤丸部分が常に変化することで、音にウネリを生んでいます。
次に、フェイザーのパラメータを確認しましょう。
フェイザーの代表的なパラメータ
- STAGES:数値を上げることで、周波数特性の谷(先ほどの図でいうと赤丸部分)が増え、フェイザーのかかり具合が変化します。
UPPER:音を揺らす周波数の基準点を設定します。- RATE:音のうねる早さを調整します。
- DEPTH:エフェクト効果の深さを調整します。
- FEEDBACK:フェイザーからの出力をさらに入力へ戻すパラメータ。FEEDBACKを調整することで、音のうねり方が大きく変化します。
- MIX:元音とフェイザー音の割合を設定します。DIRに回すと元音が、EFFに回すとフェイザー音が大きくなります。
- LEVEL:Classic Phaserより出力されるボリュームを調整します。
パラメータも、フランジャーと非常に似ていますね!
この3回の連載で、フランジャー、コーラス、フェイザーと空間系エフェクトを3種類立て続けにご紹介してきました。
そこで来週の連載では、この3種類のエフェクトを様々な音源にかけて、エフェクト効果の違いを比べてみたいと思います。
これまでの連載で、これら3種類のエフェクトは、非常に似通った原理や、効果があることはご説明してきましたが、実際の音ではどのような差が生じるかを理解することで、各エフェクトの認識度がさらに向上すると思います。
これらのエフェクト効果を比べるということは中々ない機会かと思うので、来週の連載もお楽しみに!それでは。
- 前回記事:コーラス編
- 次回記事:フランジャー、コーラス、フェイザー編