(2014/02/14)
楽曲制作を通して、Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。前回予告した通り、今回はディレイとリバーブの併用方法についてご紹介します。
ディレイとリバーブの併用方法
ディレイ、リバーブは、エフェクトの種類でいうと”空間系エフェクト”に分けることができます。
これらのエフェクトは、エフェクトを適用している音を周りの音になじませるために使用します。
では、周りに”なじんでいない音”とは、どのような音か聴いていただきましょう。
メロディーを弾いているピアノに注目してください。
他の楽器は同じ部屋で演奏しているのに、ピアノだけ別の場所で演奏しているように聴こえますね。
こういった問題を解消するための手段の1つとして、空間系エフェクトを使用します。
この音源のサイドで鳴っているギター・フレーズには、テンポ・ディレイがかかっているため、ピアノにもテンポ・ディレイをかけてみました。
ピアノ・フレーズに躍動感は生まれましたが、まだ周りの音になじんでいません。
次に、ピアノ・フレーズにリバーブもかけました。
これで、ピアノ・フレーズが周りの音にだいぶなじみました。
今回のような、ディレイ・タイムが長めのディレイだけでは、周りの音になじまない場合があります。その際は、
リバーブを併用することで、問題が解消されることが多いです。
また、音をなじませるという点では、トータルリバーブという方法もあります。
トータルリバーブとは楽曲全体にかけるリバーブのことで、マスター・トラック(Mixcraftでは、メイン・ミックス・トラックのこと)にリバーブをインサート(挿入)すると、楽曲全体にリバーブがかかります。
トータルリバーブは、楽曲の奥行きや一体感を増す効果があると言われていて、
楽曲全体にコンプをかけるトータルコンプと近い効果があります。
トータルリバーブやトータルコンプについては、改めて解説いたしますが、個別のトラックにエフェクトをかける際と、全体にエフェクトをかける際では、エフェクトの調整の仕方がかなり異なります。
トータルリバーブなどは、効果が楽曲全体に及んでしまうため、やり過ぎは禁物ですが、絶大な効果を生む場合もあるため、是非チャレンジしてみてください。
ディレイ音に、リバーブをかける!?
次に、先ほどとは異なるディレイとリバーブの併用方法をご紹介します。
先ほどは、元音をディレイとリバーブ両方にセンドで送っていましたね。
図で表すと、以下の通りです。
この設定では、深いリバーブをかけようとすると(リバーブ効果を強くしようとすると)、元音からリバーブへのセンド量を上げます。
そうすると、たしかに深いリバーブがかかりますが、ぼやけた音になってしまいます。
ぼやけた音というのは、以下のような音のことです。
では、
“音をぼやけさせずに、深いリバーブをかけたい”
という場合はどうすればよいでしょうか?
様々手段はあるかと思いますが、ここではディレイを使いたいと思います。
元音をセンドでディレイに送り、ディレイ音をさらにリバーブに送ります。
図で表すと、以下の通りです。
上記のような設定をミックスクラフトで行うには、以下のようにディレイをインサート(挿入)しているセンド・トラックに、リバーブもインサートします。
この時、ディレイのMIXノブを、EFF側に振り切っていることに対し、リバーブはWET側に振り切っていないことがポイントです。
これらの働きを図で表しました。
それでは、先ほどの”ぼやけた音”のご紹介の際に使用したシンセ・フレーズに対し、上記のディレイとリバーブをかけてみました。
いかがでしょうか?
原音に対してリバーブをかけていないため、はっきりした音も鳴っていますが、ディレイ音に対しては深いリバーブがかかっているため、空間が広く感じる音源に仕上がっています。
簡単に行えるテクニックなので、皆さん是非お試しください。
それでは!
- 前回記事:ディレイ応用編
- 次回記事:フランジャー基礎編
投稿者:うえだ
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