(2014/02/07)
楽曲制作を通して、Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。 前回は、ディレイの基礎知識について解説を行いました。今回はディレイ活用方法をご紹介します。
テープ・エコー、アナログ、デジタルって?
まずは、ディレイ効果のおさらいからです。
ディレイに音(原音)が入力されると、原音に対して、遅れた音(ディレイ音)が出力されます。
この際、“ディレイ音は原音に対してどのくらい遅らせるか”、”ディレイ音を何回繰り返すか”、”ディレイ音の音質”といったことを、設定出来ます。
ディレイは、「テープ・エコー」、「アナログ・ディレイ」、「デジタル・ディレイ」という3種類に分けることが出来ます。
テープ・エコー
テープ・エコーの働きを簡単に説明すると、入力された音をテープに録音し、ディレイ音として再生します。このテープの動く速度が、ディレイ・タイムに繋がります。
また、テープに録音した音は原音より音が劣化していますが、テープならではの温かさが音に追加され、今でもテープ・エコーにこだわりを持つプロの方もいます。
しかしテープ・エコーは、ギターのアンプ・ヘッドほどサイズが大きく、価格も高いものでした。そこで新たに開発されたのが、アナログ・ディレイです。
アナログ・ディレイ
アナログ・ディレイはBBD素子を使用した回路で、ディレイ効果を生み出しています。テープ・エコーと比べ、サイズも小さく、価格もかなり下がりました。
しかし、長いディレイ・タイムを設定することが出来ず、BBD素子*に音を通すと、音は劣化しました。(後に、この音質劣化が注目されます。)
*BBD素子は、入力されたアナログ信号を、時間をおいてアナログ信号のまま出力する働きを持つ電子部品です。
これらの問題を解消するために開発されたものが、デジタル・ディレイです。
デジタル・ディレイ
デジタル・ディレイは、音質劣化が少なく、正確な時間でディレイ音の発音タイミングを調整出来ることが特徴です。
またデジタル・ディレイには、テープ・エコーやアナログ・ディレイをシミューレートしたものもあります。
同じ音源で、これら3種類のディレイを試してみます。
それぞれのディレイ・タイプに合った設定で、ディレイをかけています。
原音 → TYPE:テープのディレイ適用後 → TYPE:アナログのディレイ適用後 → TYPE:デジタルのディレイ適用後音源の順番で流れる音源を作成しました。お聴きください。
付点8分ディレイ
次に、ギター・アルペジオなどに相性の良い付点8分音符ディレイをご紹介します。
まずは、Mixcraftの楽器プリセットでClassical Guitarを選択し、以下の音源を作成しました。この音源に、今から付点8分音符ディレイをかけていきます。
それでは、Classic Delayを起動し、ディレイ・タイムを付点8分音符にしようとしましたが、Classic Delayでは付点8分音符のディレイ・タイムは用意されていません。
このような時は、ディレイ・タイムを計算しましょう。
付点8分音符のディレイ・タイムは、以下の式から算出出来ます。
ディレイ・タイム(ms)=60÷楽曲のテンポ×0.75×1000
※1ms = 1/1000秒
今回用意した音源は、テンポ80で作成したため、ディレイ・タイムは
60÷80×0.75×1000=562.5ms
です。
算出したディレイ・タイムをClassic Delayに設定しましょう。
Classic Delayのディレイ・タイムは、秒数(s)表記なので、562.5msを秒数表記に変換します。
562.5(ms)×0.001=0.5625(s)
Classic Delayのディレイ・タイムを0.5625秒に設定し、LOW CUTとHI CUTにて、ディレイ音の音質を調整しました。また、ディレイ音のパンも、右側に設定しています。
それでは、ディレイ付点8分音符を設定した音源をお聴きください。
いかがですか?
ディレイをかけただけですが、新しいフレーズに聴こえますよね。
これらテクニックは、少しの労力で、効果は抜群ですので、皆さんも是非お試しください。
また、付点8分音符ディレイに似たテクニックとして、ディレイ音を原音と同じ音量で16分に設定し、ディレイ音が1回だけ聴こえるようにして、ギターを8分で演奏すると、16分の速弾きのように聴こえるテクニックもありますね。
こちらも簡単に行えるテクニックなので、是非お試しください。
ディストーションのミュートにかけると、とてもいいと思いますよ。
次回は、併用頻度の高いディレイとリバーブの組み合わせについて解説いたします。
それでは!
- 前回記事:ディレイの基礎知識
- 次回記事:リバーブとディレイ併用編
投稿者:うえだ
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