(2014/01/24)
楽曲制作を通して、Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。
前回、前々回とリバーブについて解説を行ってきましたが、今回がリバーブの最終回です。ちょっと変わったリバーブの使い方をご紹介しましょう。
リバーブとイコライザーの組み合わせ
リバーブによっては、残響音の音質を設定するFilter機能が搭載しています。
残響音の低域をカットすれば、すっきりとした残響音になりますし、高域を持ち上げれば、きらびやかな残響音の出来上がりです。
このFilter機能ですが、全てのリバーブに搭載しているわけではありません。
Mixcraft内蔵のリバーブを例にあげても、Acoustica Pro Studio ReverbにはFilter機能が搭載していますが、Acoustica Reverbにはありません。
- Acoustica Pro Studio Reverb
- Acoustica Reverb
こういう場合はイコライザーを併用することで、Filter機能と似た効果を得られます。
上の画像を例に説明すると、Acousticaリバーブで処理された残響音が、TB Parametric Equalizerに入力されます。そして、TB Parametric Equalizerで周波数帯域の処理を行うと、残響音の音質を変化させることができます。
それでは、実際の音源で試してみましょう!
Mixcraftのライブラリより、女性ボーカルを用意しました。4小節ごとに、リバーブが適用された音源 → リバーブ+イコライザーが適用された音源 → リバーブが適用された音源というように、交互に切り替わる音源を用意しました。音質に、どの程度の差が生じるかご確認ください。
リバーブとコンプレッサーの組み合わせ
次に、残響音の余韻の長さを調整したいと思います。
その前に、残響音の長さと、残響音の”余韻”の長さの違いを明確にしておきます。
Classic Reverbを例にすると、残響音の長さは”SIZE”から調整できます。
SIZEを大きくすると、広い場所で演奏したような長い残響音が得られ、SIZEを小さくすると、残響音の長さも短くなります。
図で表すと、以下のような働きです。音と一緒にご確認ください。
続いて残響音の余韻の長さはというと、下の図で表すと赤丸の部分です。
“残響音の余韻の長さを調整する”=”残響音の余韻の広がりを調整する”とも言えますが、こういった部分を調整できるリバーブは、多くはありません。Mixcraft内蔵のリバーブも、このような機能は搭載していません。
しかし、コンプレッサーをリバーブと組み合わせることで、残響音の余韻を調整できるようになります。
コンプレッサーの働きを思い出してみると、
“音を圧縮する”という働きでしたね。今回でいうと、リバーブによって処理された残響音が、コンプレッサーに入力され、残響音を圧縮します。
残響音の余韻の広がりに大きく関わるコンプレッサーのパラメーターは、リリース・タイムです。
リリース・タイムとは簡単に言うと、
“入力音が任意の音量を下回ってから、圧縮を解除するまでの時間”でしたね。
今回の場合、リリース・タイムを長くすると、残響音の余韻の広がりを抑えることができます。
図で表すと、以下のような働きです。
それでは、実際の音源で効果を確かめてみましょう!
以下の音源は、リバーブ+コンプレッサーで処理した音源です。
4小節ごとに、“コンプレッサーのリリース・タイム短め” → “コンプレッサーのリリース・タイム長め”に設定した音源が切り替わります。
特に残響音の広がりに注意して、お聴きください。
このように、イコライザーやコンプレッサーなどとリバーブを併用することで、いつもと違った残響音が得られるときがあります。
簡単に設定できますので、みなさんも是非お試しください。
今回はリバーブの変わった使い方をご紹介してきたので、Mixcraftとは直接関係ありませんが、リバーブ繋がりとして最後におもしろい効果のテクニックをご紹介します。
このテクニックは、ボーカルに対してすごく効果的なため、女性ボーカルの音源を用意しました。
まずは、ボーカルのアタック部分を切り出してください。
次に、切り出した波形を逆転させます。Mixcraftでは、波形を右クリックし、”逆転する”を選択するだけで、簡単に波形の逆転を行えます。
この逆転させた波形に対し、残響音の長いリバーブをかけましょう。
この状態で、一度ミックス・ダウンを行います。すぐに使用するので、分かりやすい場所に保存してください。
ミックス・ダウンを行った波形を、Mixcraftへ読み込みます。Mixcraftへの読み込みは、ドラッグ&ドロップで簡単に行えます。
そして、この波形をもう一度逆転させます。
この逆転した波形は、残響音の長いリバーブをかけているため、音の余韻部分が非常に長いです。そのため、不要な余韻部分は切り取りましょう。
その後、オリジナルの波形とアタック部分を揃えて完成です。
それでは、完成した音源をお聴きください。
いかがでしょうか?波形や残響音が複雑に絡み合って、高揚感が表現できていると思います。
この時、オリジナルのボーカル音源にリバーブをかけすぎないことがポイントです。それは、逆リバースがかかっている波形と対比させた方が、うまくいく場合が多いためです。
このテクニックは、どんなDAWでも行えますので、みなさんも是非チャレンジしてください。
それでは!
- 前回記事:リバーブの実践知識
- 次回記事:ディレイ基礎編
投稿者:うえだ
カスタマーサポート担当。
丁寧かつ迅速なサポートを心がけています。
弊社取り扱い製品についてお困りの際はお気軽にご連絡ください。