(2013/12/27)
楽曲制作を通して、Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。
Vol.16からコンプレッサーの説明に入り、代表的なパラメーターの説明を行いました。
また前回は、コンプレッサーの実践編として、コンプレッサー以外のエフェクトも併用しながら、ドラム・サウンドを作りました。
今回もコンプレッサーを使った音作りと、イコライザーとの併用についてご紹介します。
コンプレッサーで歪みを生み出す!?
コンプレッサーは、音を整える方向で使用されることが多いエフェクトですが、今回は趣向を変えて、コンプレッサーだけを使って、キックに歪みを加えたいと思います。
元の音源は、Mixcraftライブラリより、808Kickを選択しました。
音源を聴いていただくと、全く歪みのないキックであることが分かるかと思いますが、このキックに、コンプレッサーだけを使って歪みを加えます。
コンプレッサーの設定は以下の通りです。
アタック、リリースともに最速で、元音源の音の立ち上がり部分だけを、圧縮しています。
また、レシオを高く設定することで、圧縮に無理が生じて、音に歪みが生まれます。
レベルオーバーによる歪みとはまた異なるため、不快な歪みではありません。
上記の設定の結果が、以下の音源です。
音作りに正解はありません。
MixcraftのようなDAWソフトウェアでは何度もやり直しが可能なので、あらゆるアイディアを試してみてください。
イコライザーが先か、コンプレッサーが先か
イコライザーとコンプレッサーは、ミックスを行うにあたって、使用頻度の高いエフェクトです。そのため、併用される頻度も非常に高いです。
このとき、イコライザーを先にかけるのか、コンプレッサーを先にかけるのかで音に違いが生じます。
さっそく、実践してみましょう。
イコライザーとコンプレッサーの設定は、以下の通りです。
効果がはっきりと分かるように、イコライザー、コンプレッサーともに、極端な設定にしています。
まずは、効果の違いを耳で確かめてください。
聴き比べていただくと、コンプレッサー → イコライザーの順でエフェクトをかけた場合、音が揺らいでいることが分かります。
コンプレッサーの設定を確認すると、スレッショルド・レベルが大きく下がっているため、入力された音に対し、コンプレッサーが深くかかります。そのため、音が不自然に揺らいでしまっています。
しかし、イコライザー → コンプレッサーの順だと、音は揺らいでいません。
これは、イコライザーで、低音が大きく削られているためです。
音の周波数成分を大きく削られた状態の音が、コンプレッサーに入力されるため、その分、スレッショルド・レベルに到達せず、コンプレッサーが自然なかかり具合となります。
このように、イコライザーをコンプレッサーの前後で適用するかで、スレッショルド・レベルへの到達具合が変わってきます。
なお、Mixcraftでは、画像赤枠の矢印ボタンにて、現在選択しているエフェクトの順番を簡単に入れ替えることができます。
今回は、スレッショルド・レベルへの到達具合がはっきりと分かるように、両方のエフェクトのパラメーターを設定しています。
ちなみに、イコライザーとコンプレッサーをつなげる順番の代表的な意図として
イコライザー → コンプレッサー
イコライザーで補正した(または、特定の周波数帯域をブーストした)音が、コンプレッサーに入力されるため、音色の変化が大きくなります。そのため、積極的な音作りに用いられることが多いようです。
コンプレッサー → イコライザー
コンプレッサーで音量差を補正すると、元の音源と若干音質が変化する場合があります。
その変化した音質を補正するために、イコライザーを使用します。
また、イコライザー → コンプレッサー → イコライザーという、エフェクトのかけ方もあります。イコライザーとコンプレッサーの組み合わせで変化した音質を、さらにイコライザーで整えてあげることで、意図するサウンドを作りやすくなります。
音作りにおいて、何が正解ということはありません。トライ&エラーの精神で、音作りを楽しんでください。
それでは、よいお年を!
- 前回記事:CompとEQをつかった音作り
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投稿者:うえだ
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