(2013/12/13)
楽曲制作を通して、Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。
Vol.16からコンプレッサーの説明に入り、スレッショルド、レシオ、ゲイン、アタックと、コンプレッサーのパラメーターを解説してきました。
今回の連載では、残りのパラメーターである“リリース”について解説します。
正式名称は、“リリース・タイム”で、前回のアタック・タイムと似た働きを行います。
アタック・タイム同様、調整が難しいパラメーターではありますが、自然な圧縮を行うにあたって、必要不可欠なパラメーターです。
それでは、リリース・タイムの働きについて確認していきましょう!
リリース・タイムについて
前回のおさらいとして、アタック・タイムの働きを確認します。
アタック・タイムは、”スレッショルド・レベルを超えてから、圧縮を開始するまでの時間を設定します。
図と波形で説明すると、以下の通りです。
これに対し、
リリース・タイムは、スレッショルド・レベルを下回ってから、圧縮を停止するまでの時間を設定することができます。
図で説明すると、以下の通りです。
実際の波形に置き換えると、
このような働きをしています。
リリース・タイムで設定した時間の間は、スレッショルド・レベルを下回っても、コンプレッサーは圧縮し続けます。
それでは、リリース・タイムの働きを耳で確認していただきます。
リリース・タイムのかかり具合が分かるよう、音の余韻が長いバス・ドラムの音源を用意しました。
この音源に対して、2通りの設定でコンプレッサーをかけました。
それでは、音にどのような変化が生じたか確認します。
前回と同様、リリース・タイムの違いによる音の変化を聴き比べていただくため、元音源→コンプレッサー適用(リリース・タイム最速)→コンプレッサー適用(リリース・タイムを調整後)の順番で鳴るよう、動画を用意いたしました。ご覧ください。
この動画で特に注意していただきたいのが、音の余韻部分です。
リリース・タイムが最速の場合だと、音の余韻がふくらんで聴こえると思います。これは、 スレッショルドを下回った時点で、すぐに圧縮を停止しているためです。
リリース・タイムを調整した場合は、 音の余韻部分もしまって聴こえていて、元の音源と音質は大きく変化していないと思います。これは、自然な圧縮ができていると言えると思います。
それぞれの波形でも確認しましょう。
元の音源は、徐々に音が減衰していますが、
リリース・タイム最速の場合は、音の余韻部分が膨らんでいます。そのため、実際の音も余韻部分が大きく聴こえました。
次に、リリース・タイムを調整した波形を見てみると、
リリース・タイム最速の設定と比べ、音の余韻部分がふくらんでいません。
これは、スレッショルドを下回ってからも、リリース・タイムで設定した時間分だけ、圧縮が行われているためです。
このように音の余韻と重要な関わりがあるリリース・タイムですが、アタック・タイムと同じく単位が1/1000秒で、調整が難しいパラメーターです。
しかし、先ほど聴いていただいた通り、リリース・タイムのパラメーター1つで音の余韻が変化し、音の余韻は楽曲のノリに大きく関わってきますので、何度もリリース・タイムの調整を行ってみてください。
それでは!
- 前回記事:アタックタイムの設定
- 次回記事:コンプレッサーを使った音作り
投稿者:うえだ
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