(2013/12/6)
復習:コンプレッサーの効果
楽曲制作を通して、Mixcraftの魅力をお伝えしている本連載。
前回は”コンプレッサー”の効果から、スレッショルド、レシオ、ゲインという基本的なパラメーターをご説明いたしました。
コンプレッサーの働きについて簡単に復習すると、コンプレッサーはコンプレッサーに入力されたサウンドで、音量が大きい部分だけを圧縮し、全体的な音量を増幅するという働きを持っています。
音量の大小の境目を設定するのが“スレッショルド”で、大きい音量をどの程度圧縮するかを決めるパラメーターが“レシオ”でした。2つのパラメーターの働きを図で表すと、以下のようになります。
そうすると、コンプレッサーで圧縮した分だけ、音量レベルに余裕が出来ます。
この余裕が出来た分をコンプレッサーのゲインで上げることで、全体的に音量が上がります。
ここまでが、前回の記事でご紹介したコンプレッサーの働きです。
今回は、前回ご紹介できなかったパラメーター、アタックについて説明していきます。
アタック・タイムについて
コンプレッサーは、コンプレッサーに入力された音がスレッショルドで設定した値を超えると、レシオで設定した比率で圧縮を行います。
この圧縮ですが、スレッショルド・レベルを超えてから、圧縮を開始するタイミングを、1/1000秒単位で調整することができます。それが、アタック・タイムです。
スレッショルド・レベルは、コンプレッサーが動作する”条件”です。
“スレッショルド・レベルを超える ≠ 圧縮を開始する”であり、スレッショルド・レベルを超えて、アタック・タイムで設定した時間分経過してから、レシオで設定した比率で圧縮を行います。
図で説明すると、以下の通りです。
実際の波形に置き換えると、
このような働きをしています。
アタック・タイムで設定した時間から圧縮を開始するため、アタック・タイム内の波形は圧縮されません。
そのため、音源のアタック部分(音の立ち上がりの部分)に影響を与えずに、コンプレッサーで圧縮を行う場合は、アタック・タイムを調整します。
それでは上記内容を、Mixcraftのライブラリーから音源を使用し、実践いたします。
上記の音源を波形で表示すると、以下の通りです。
では、アタック・タイムを最速にし、コンプレッサーをかけた音源がこちらです。
コンプレッサーをかける前は、スネア・ドラムは歯切れのよい音色でした。しかし、コンプレッサーをかけた後では、音がつぶれたような音色になってしまいました。
コンプレッサー適用前後の音源を比べると、音質が変化しています。
両者の波形を比較してみましょう。
元の音源は、波形で見ても、音で聴いても、音の立ち上がりが速いことが分かります。この音源に、アタックを最速にしたコンプレッサーで圧縮を行うことで、スレッショルド・レベルを超えた音源に対し、すぐさま圧縮を行っています。
次に、元の音源に対し、アタック・タイムを少し遅くした設定で、コンプレッサーをかけました。
アタック・タイムの違いによる音質を聴き比べていただくため、元音源→コンプレッサー適用(アタック・タイム最速)→コンプレッサー適用(アタック・タイムを調整後)の順番で鳴るよう、動画を用意いたしました。ご覧ください。
アタック・タイムが最速の場合は、音がつぶれたような音色でしたが、アタック・タイムを調整すると、元の音源が持つ音のアタック成分を残しつつ、余韻が持ち上げられています。
このアタック・タイムですが、スレッショルド、レシオ、ゲインに比べ、効果が分かりづらいパラメーターです。また、単位が1/1000秒のため、調整が難しいパラメータでもあります。
しかし、自然な圧縮を行うには、必要不可欠なパラメーターであるため、音の変化を判断できるまで、何度もアタック・タイムを調整してみてください。
来週はコンプレッサーの最後のパラメーター、“リリース・タイム”について解説いたします。
アタック・タイムと同様、効果が分かりづらいパラメーターですが、楽曲の”ノリ”に関わる重要なパラメーターですので、丁寧に解説を行って行きます。
それでは!
- 前回記事:コンプレッサーの効果
- 次回記事:リリース・タイムの設定
投稿者:うえだ
カスタマーサポート担当。
丁寧かつ迅速なサポートを心がけています。
弊社取り扱い製品についてお困りの際はお気軽にご連絡ください。