第1回:ハードウェアシンセのメリットとは?
最近では音楽制作に限らず、ライブ演奏などにおいてもシンセを使用する場合、ソフトシンセは使用するがハードシンセは使わないという人の多くは、単にハードウェアシンセを選ぶ理由やメリットを知らないことで選んでいるケースもあるようです。
そこで、本連載ではハードウェアシンセについて理解を深めようという主旨の元、StudiologicのSledgeを題材にしつつ、そのメリットや長所などを紹介したいと思います。
ハードウェアシンセのメリット
ハードシンセを使用するメリットは、何といっても操作性の良さに尽きます。
変化させたいパラメーターのノブやボタンを呼び出したり、選んだりすることなく、直感的にそのパラメーターを操作できるので、任意のパラメーターをコントロールしてサウンドを変化させながら演奏を行なうことも容易にできます。もちろん、ソフトウェア音源を使用してもMIDIコントローラーなどでリアルタイムにパラメーターをコントロールすることはできますが、音源の設定やコントローラー上のセッティングなどを十分に行なう必要がありますし、製品の組合せによってできることが異なるなど使いこなすまでには少々時間を要すことになります。その点、ハードシンセという一つの製品になっている場合は、本体のシンセ音源部分とノブやスライダーなどのコントロール部分が直結していますので、特に煩雑な設定をする必要もなく、そのまま使える点は大きなアドバンテージだと言えます。
本コーナーでは、既にハードウェアシンセを使用している人だけでなく、ハードウェアシンセを導入しようと検討中の人にも十分オススメできるStudiologicのSledgeの魅力について紹介したいと思います。
Sledgeとはどんなシンセサイザーなのか
Sledgeは、Waldorf社製DSPを採用したモデリングシンセサイザーです。基本的に操作可能なパラメーターは全てパネルに配置されており、直感的な操作性が特徴となっています。今回紹介するBlack Editionモデルは、ユーザープリセット数999、同時発音数はシンセサイズされた音色とサンプリング音を合わせて24ボイス、オートデュアルモードによるスプリット、レイヤーが可能な他、基本的な機能や性能はイエローボディの通常モデルと同じながら、リバース・カラーが印象的なセミウェイテッド鍵盤を採用し、より本格的な鍵盤のタッチ感が得られる点が異なります。
また、Sledgeはモデリングシンセサイザーの機能に加えて、内蔵の60MBフラッシュメモリーにサンプリング音をロード可能なサンプルプレイヤー機能を装備しており、それらに加えて66のオリジナルPPGウェーブテーブルをオシレータ1の波形として使用できる点がユニークです。このサンプリング音の他、キーボードレンジやチューニングなどの各種設定については、専用エディターソフト“Spectre”を使用することによってUSB端子で接続したコンピューター上での管理も行なえます。
参考までにSledgeを使用した演奏デモなどの動画がありますので、併せてチェックしてみてください。