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めざせ!Bitwig Studio デバイスマスター – vol.7

第7回:Spectral Suite活用法(その1)

今回から、バージョン4.4で追加装備された新しいデバイス「Spectral Suite」について解説していきましょう。

まずはデバイス全体の概要について紹介したいと思います。

図0:メインスクリーン

Spectral Suiteとは?

既にご存じの方も多いかと思いますが、Spectral Suiteについて簡単に紹介しましょう。

Spectral Suiteとは、オーディオの数百にも及ぶ周波数帯域を分析して分割を行ない、それらに対してボリュームやパンなどを動的に変化させたり、エフェクトなどの設定や調整が可能なユニークなデバイスです。Spectral Suiteの各デバイスは異なる音楽要素をターゲットにしているため、ミキシングにおける繊細な調整やクリエイティビティあふれるサウンドメイクが行なえます。もちろん、インサーションのスロットも用意されていますので、Bitwig StudioのエフェクトデバイスやVSTやCLAPのプラグインエフェクトも挿入でき、サウンドのカスタマイズも可能です。

Spectral Suiteに含まれる各デバイスについて

Spectral Suiteは、Transient SplitFreq SplitLoud SplitHarmonic Splitの4種類があります。

各デバイスについては、次回以降に順を追って紹介したいと思いますが、それぞれの大まかに言うと以下のような特徴を持っています。

Transient Split

図1:Transient Splitの操作画面

サウンドのアタック音となるパーカッシブなトランジェント部分と楽器の音色となるトーン部分を分割し、サウンドメイクが行なえるデバイスです。

Freq Split

図2:Freq Splitの操作画面

4個のチャンネルに音を分割するフィルターバンクセットのように使用可能なデバイスです。

Loud Split

図3:Loud Splitの操作画面

サウンドを構成する要素の中の音量を分離させるデバイスで、サウンドに含まれている小さい音、中ぐらいの音、大きい音の各要素に分離し、各要素のサウンドメイクが行なえます。

Harmonic Split

図4:Harmonic Splitの操作画面

2グループの高調波と1つの非高調波に振り分け、それぞれの要素に対して別々にサウンドメイクが行なえます。

ちなみにBitwig StudioにはSpectral Suite付属のサウンドパッケージ「Outer Spectra」が用意されています。

パッケージには各Spectralデバイスを使用したエフェクトプリセットと、FXスロットにSpectralデバイスを使用したシンセのプリセットが70以上収録されていますので、サウンドメイクの参考にチェックしてみると良いでしょう。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。