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めざせ!Bitwig Studio 4.2 デバイスマスター – vol.2

第2回:Note Gridを使いこなすための基本(2)

Bitwig Studioに収録されている数あるデバイスを曲作りに活かせるよう、本連載ではそのポイントを解説していきたいと思います。
前回に引き続きNote GridのPitchカテゴリーのモジュールを紹介しましょう。

図1:メインスクリーン画面。

Transposeを使ってハーモニー演奏させる

それでは最初にデモ音源を聴いてみてください。


シンセデバイスのPOLYMERのプリセット“Additive Pad”を使用したトラックのフレーズに対して、9小節目からNote Gridを使用したハーモニーが加わるように設定しています。

図2:Note Gridが9小節目からオンになるようにオートメーションを設定した状態。

ここでは、Note GridのTransposeを使用して演奏される音の5度上と9度上の音が発音するように設定しました。実際には図のようにモジュールを接続しています。

図3:原音に対してハーモニーを加える設定はこのようになっている。

モジュール接続のプロセス

順を追って今回の設定を見ていきましょう。
まず、異なるピッチのハーモニーを得るにはPitchカテゴリーのTransposeが必要になりますが、前回のようにNote InモジュールのPitch Out → Transpose → Note OutモジュールのPitch Inと接続しただけでは、単純に演奏される音のピッチが変更になるだけです。そこで、I/OデバイスカテゴリーのNote Outモジュールを追加し、トランスポーズした音の出力先を用意することで、元の音の出力にトランスポーズした音も同時に出力できるようになります。

図4:TransposeモジュールとNote Outモジュールをエディット画面上に配置した状態。

そして、図のようにNote InモジュールのGate Out → Note OutモジュールのGate Inも同じように結線し、Transposeの値を設定すると演奏した音と共に5度上の音も一緒に演奏されます。

図5:黄色の枠線で囲んだ部分の数値を変更することで、目的のピッチが得られる。

同じように更に5度上の音を加えたい場合には、TransposeモジュールとNote Outモジュールを1つずつ追加し、同様に接続を行ない、トランスポーズ値を+14に設定します。

図6:更に追加したモジュール部分は黄色の枠線で囲んだ部分となる。

この機能を活用すれば、いわゆる平行3度や5度ユニゾン効果をすぐに得られますし、TransposeモジュールとNote Outモジュールを3つずつ追加して、Transposeモジュールの値をそれぞれ+3、+7、+10のように設定すればマイナーセブンスコードの構成と同じになるハーモニーが得られ、コードメモリー機能のような効果を作ることもできます。

図7:マイナーセブンスコードのハーモニーを得るためのTransposeモジュールの設定はこのようになる。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。