第10回:Spectral Suite Device活用法(その4)
今回は「Spectral Suite」の中から「Loud Split」をピックアップして解説していきましょう。
Loud Splitの機能について
Loud Splitは、サウンドの音量の大きさによって要素を分離するSpectralデバイスです。音量の小さい部分を大きくしたり、大きい部分をミュートしたりすることによって、サウンド自体の質感を変えることが可能です。
また、特定の音量の要素のみを使用して大胆にエフェクト処理したサウンドを得ることもできます。
デモサウンドについて
参考例としてLoud Splitのデモサウンドを作成してみました。
全体としてはBitwig Studio内蔵のフレーズクリップを使用していますが、必要に応じてフレーズをエディットしたり、部分的に使用しつつ、全体を構成しています。
この中でLoud Splitを使用したのは、タップダンスによるパーカッシブなリズムループの「Tap Dance School 01」というクリップを使用したトラックです。元々の素材はタップのアタック感が強いサウンドになっていますが、ここではそのアタック感をカットして残響ノイズ部分を活かしたサウンドメイクを行ないました。
設定としては、サウンドで一番目立つ部分となるLoudチャンネルをミュートして、MidチャンネルはDelay+を使用し、QuietチャンネルはTransient ControlとReverbを使用したエフェクト処理を施しています。
このトラックのLoud Splitを使用する前の元の状態と使用したサウンドの違いは以下のトラックを聴き比べてみてください。
Loud Splitはダイナミクス系のエフェクト的なデバイスですので、劇的にサウンドを変化させるような使い方は難しいですが、特定の要素の音量が目立つ場合などの調整に使用してみたり、デモサウンドのように特定の音量要素を加工するなどのような使い方をしてみると良いでしょう。