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【ソフトシンセ入門】サウンドメイクの基本をSPIREでマスター(vol.5)

第5回:アンプセクションとエンベロープ

さて今回アンプセクションを見ていきましょう。

アンプセクションの解説をする上でエンベロープについても知っておく必要がありますので、併せて紹介しましょう。

Spireのアンプセクション

Spireのアンプセクションには最終的な出力の音量などを設定するMaster Out(マスターアウト)のあるセクションが相当します)。

図1:Master Outのパラメーターには、Volumeの他、コンプレッサーのX-Comp、強弱の感度調整を行なうVelocity、3バンドのEQがある。

このセクションにはEQ、コンプといったエフェクトの他、ベロシティ設定が行なえます。また、Spireの初期設定ではENV(エンベロープ)1が4つのオシレーターすべての出⼒コントロールを行なうので、アナログシンセサイザーにおけるVCAのエンベロープに相当すると考えても良いでしょう。

図2:ENVセクションは図中の黄色の枠線で囲んだ部分で調整したいENVを切り替えて表示させる。

ちなみにSpireには4基のENVが用意されていますが、音量の時間的な変化の設定にも使用できますので、アンプセクションの設定に関連する設定として押さえておきましょう。

エンベロープをアンプの時間的な変化に使用する

4基のエンベロープは音量の時間的な変化の設定を行なえるだけではなく、ピッチや音色などの変化に対しても使用されますが、ここではアンプのエンベロープ(=音量の時間的な変化)として使用する点について紹介します。

前述の通り、デフォルトではENV 1は4オシレーターすべての出⼒コントロールを行ないますが、任意のオシレーター音量の時間的な変化を設定したい場合には以下のような手順となります。

(例)オシレーター2の音量の時間的な変化を設定する場合

  • 1:MixerでOSC 2(オシレーター2)の値を30に設定する

    図3:オシレーターの出力値が30以下の場合には、ノブの左下にあるLEDが黄色の状態になることで確認できる。

  • 2:ENV 2でいずれかのモジュレーションソースにOsc MixerのOsc2 Ampをアサインして調整を行なう

    図4:ENV 2でモジュレーションソース1にOsc2 Ampをアサインした状態。設定の際には黄色の枠線で囲んだ部分を確認しよう。

Master Outで出音のトータル調整を行なう

Master Outのセクションは、作成した音色の仕上げとして音質や音量などを調整する役割があります。ここにあるパラメーターの中で“Volume”が最終的な出力音量になりますが、実はここの設定は非常に重要です。

図5:図中の黄色の枠線で囲んだ部分がVolumeとなる。

作成する音色によって設定するパラメーター値の他、オシレーターやエフェクトなどの使用数などによって音色自体の音量には差が生じてきます。例外的なケースはもちろんありますが、基本的にはどの音色でもある程度音量差が少ない方が作業しやすいので、このVolumeを調整して音色間の音量バランスを整えておくと良いでしょう。

また、Volumeを調整した後でX-CompやEQなどを使用した場合には、音質変化による音量差が生じると思います。その場合には再度Volumeの設定を見直しましょう。

図6:X-CompやEQなどを調整し、Volumeを再調整している状態。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。