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【ソフトシンセ入門】サウンドメイクの基本をSPIREでマスター(vol.1)

第1回:Spire(ソフトシンセ)をDAW上で使用するには?
~ セットアップの基本について ~

DTMを始めてから最初に遭遇する難所は、DAWの設定や様々な操作方法などだと思います。ここでは、基本に立ち返ってソフトシンセを使用するために知っておきたい基本ポイントを見直していきましょう。

DAW上でソフトシンセを使用するには?

DTMのレッスンで始めたばかりの生徒さんから質問を受ける中で多いものの一つは、「ソフトシンセを購入してコンピューターにインストールし、使えるように認証も済ませたが、どのようにしたらDAW上で使えるようになりますか?」という質問です。

せっかくの機会ですので、ソフト音源を使用して音を出す仕組みを少々深く説明してみましょう。

かつての音楽制作環境の話になりますが、ハードウェアのシンセサイザーを使用していた頃は、MIDIデータを再生するために、

コンピューターMIDIインターフェースハードウェアシンセサイザー

のようにそれぞれの機器や楽器を物理的にケーブルで接続していました。

現在から概ね25年ぐらい前のシーケンスシステムのセットアップ例をシンプルに図示したもの。コンピューターにインストールされたシーケンスソフトウェアのMIDIトラックに打ち込んだ演奏データは、コンピューターと接続したMIDIインターフェースを介してシンセサイザーと接続することで演奏データの再生を行なう。

そして、コンピューターにインストールしたシーケンスソフトのMIDIトラックに使用するシンセサイザーとMIDIチャンネルを割り当てて、フレーズの編集や演奏を行なう、という流れでした。

もちろん、現在でもハードウェアのシンセサイザーを使用する場合には、同様の手順となりますが、DAW上でソフトシンセを使用する場合には、以下のような方法があります。

MIDIトラックにソフトシンセを割り当てる場合

では、参考例としてCubase Proを使用した場合の設定方法を解説しましょう。他のDAWの場合は、メニューの名称などが異なる場合もありますが、基本的な考え方は同様です。

実際の割り当て手順は次のようになります。

  1. プロジェクトウインドウ内の右ゾーンに表示されているVSTiタブを選び、図中の「Rack」部分、

    をクリックするとVSTインストゥルメントのリストが表示されます。

  2. リスト中の「Other」の左の▶マークをクリックすると、そのカテゴリーに属するソフトシンセのリストが評されますので、Spireを選んでクリックします。

  3. MIDIトラックへの割り当てを行なうかどうかを尋ねてきますので、「作成」を選びます。

  4. Spireが割り当てられたMIDIトラックが作成されました。

インストゥルメントトラックにソフトシンセを割り当てる場合

Spireを使用するための方法は、もう一つあります。それは「インストゥルメントトラック」を作成する方法です。

インストゥルメントトラックというのは、大まかに言うと最初からMIDIトラックにVSTインストゥルメントを1つのトラックに割り当てたものです。イメージとしては、かつての音楽制作環境でハードウェアのシンセサイザーを使用していた頃の音を出すプロセスを1つのトラックで行なっていると考えることもできます。特に後から設定などを変更しないのであれば、Spireを起動する際にはインストゥルメントトラックを選ぶことで良いでしょう。

このインストゥルメントトラックにSpireを割り当てるには、Cubase Proでは次のような手順となります。

  1. プロジェクトウインドウ内の右ゾーンに表示されているVSTiタブを選び、図1で示している「Track」部分をクリックすると「トラックを追加」ダイアログが表示されます。

  2. ダイアログ中のインストゥルメントでSpireをリストから選びます。必要に応じてオーディオの出力先やトラック名なども入力し、「トラックを追加」をクリックします。

  3. Spireが割り当てられたインストゥルメントトラックが作成されました。

Spireを割り当てる際にMIDIトラック、インストゥルメントトラックのどちらを選択するかは、ハードウェアのシンセサイザーやハード、ソフト共にマルチティンバー音源の有無などを含めた制作環境による部分の他、制作過程における音色変更や差し替えの際の利便性なども関係してくるため、それらについては別の機会に解説したいと思います。

まずはSpireをDAW上で使用するには今回紹介した2つの方法のいずれかの手順で行なう、という点を押さえておきましょう。

次回以降の連載予定

ちなみに、話の内容によっては、回数が増えたり、紹介項目が変わるかもしれませんが、おおよその流れは以下のような内容を紹介していく予定です。

  • 第1回:Spire(ソフトシンセ)をDAW上で使用するには? ~ セットアップの基本について ~
  • 第2回:Spireの各セクションの概要
  • 第3回:オシレーターセクションについて
  • 第4回:フィルターセクションについて
  • 第5回:アンプセクションについて
  • 第6回:エンベロープジェネレーターについて
  • 第7回:LFOについて
  • 第8回:エフェクトについて
  • 第9回:その他の機能について

これまでもSpireの各コンテンツをご覧いただいている方には多少内容が重複する場合もありますが、復習を兼ねて今一度ご覧いただくのも良いかと思います。

内藤朗

キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、サウンドクリエーターなど様々な側面を持ち、S.E.N.Sのレコーディングサポート、安部OHJIの様々なプロジェクトでのレコーディング、ライブなどに関わるなど、作編曲からレコーディング制作、ライブ演奏など多方面で活動中。MIDIやDTM関連の分野では黎明期から今日に至るまで長きに渡り関わっており、多様な経歴を持つ。また、音楽制作系のライターとしても広く知られ、近著に「音楽・動画・ゲームに活用! ソフトシンセ 音作り大全」(技術評論社刊)、共著「ミュージッククリエイターハンドブック 2023年改訂版」(ヤマハミュージックエンターテインメントホールディングス刊)などがある。有限会社FOMIS代表取締役、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ(JSPA)正会員、MIDI検定指導研究会会員。