第1回:Spire(ソフトシンセ)をDAW上で使用するには?
~ セットアップの基本について ~
DTMを始めてから最初に遭遇する難所は、DAWの設定や様々な操作方法などだと思います。ここでは、基本に立ち返ってソフトシンセを使用するために知っておきたい基本ポイントを見直していきましょう。
DAW上でソフトシンセを使用するには?
DTMのレッスンで始めたばかりの生徒さんから質問を受ける中で多いものの一つは、「ソフトシンセを購入してコンピューターにインストールし、使えるように認証も済ませたが、どのようにしたらDAW上で使えるようになりますか?」という質問です。
せっかくの機会ですので、ソフト音源を使用して音を出す仕組みを少々深く説明してみましょう。
かつての音楽制作環境の話になりますが、ハードウェアのシンセサイザーを使用していた頃は、MIDIデータを再生するために、
コンピューター → MIDIインターフェース → ハードウェアシンセサイザー
のようにそれぞれの機器や楽器を物理的にケーブルで接続していました。
そして、コンピューターにインストールしたシーケンスソフトのMIDIトラックに使用するシンセサイザーとMIDIチャンネルを割り当てて、フレーズの編集や演奏を行なう、という流れでした。
もちろん、現在でもハードウェアのシンセサイザーを使用する場合には、同様の手順となりますが、DAW上でソフトシンセを使用する場合には、以下のような方法があります。
MIDIトラックにソフトシンセを割り当てる場合
では、参考例としてCubase Proを使用した場合の設定方法を解説しましょう。他のDAWの場合は、メニューの名称などが異なる場合もありますが、基本的な考え方は同様です。
実際の割り当て手順は次のようになります。
- プロジェクトウインドウ内の右ゾーンに表示されているVSTiタブを選び、図中の「Rack」部分、 をクリックするとVSTインストゥルメントのリストが表示されます。
- リスト中の「Other」の左の▶マークをクリックすると、そのカテゴリーに属するソフトシンセのリストが評されますので、Spireを選んでクリックします。
- MIDIトラックへの割り当てを行なうかどうかを尋ねてきますので、「作成」を選びます。
- Spireが割り当てられたMIDIトラックが作成されました。
インストゥルメントトラックにソフトシンセを割り当てる場合
Spireを使用するための方法は、もう一つあります。それは「インストゥルメントトラック」を作成する方法です。
インストゥルメントトラックというのは、大まかに言うと最初からMIDIトラックにVSTインストゥルメントを1つのトラックに割り当てたものです。イメージとしては、かつての音楽制作環境でハードウェアのシンセサイザーを使用していた頃の音を出すプロセスを1つのトラックで行なっていると考えることもできます。特に後から設定などを変更しないのであれば、Spireを起動する際にはインストゥルメントトラックを選ぶことで良いでしょう。
このインストゥルメントトラックにSpireを割り当てるには、Cubase Proでは次のような手順となります。
- プロジェクトウインドウ内の右ゾーンに表示されているVSTiタブを選び、図1で示している「Track」部分をクリックすると「トラックを追加」ダイアログが表示されます。
- ダイアログ中のインストゥルメントでSpireをリストから選びます。必要に応じてオーディオの出力先やトラック名なども入力し、「トラックを追加」をクリックします。
- Spireが割り当てられたインストゥルメントトラックが作成されました。
Spireを割り当てる際にMIDIトラック、インストゥルメントトラックのどちらを選択するかは、ハードウェアのシンセサイザーやハード、ソフト共にマルチティンバー音源の有無などを含めた制作環境による部分の他、制作過程における音色変更や差し替えの際の利便性なども関係してくるため、それらについては別の機会に解説したいと思います。
まずはSpireをDAW上で使用するには今回紹介した2つの方法のいずれかの手順で行なう、という点を押さえておきましょう。
次回以降の連載予定
ちなみに、話の内容によっては、回数が増えたり、紹介項目が変わるかもしれませんが、おおよその流れは以下のような内容を紹介していく予定です。
- 第1回:Spire(ソフトシンセ)をDAW上で使用するには? ~ セットアップの基本について ~
- 第2回:Spireの各セクションの概要
- 第3回:オシレーターセクションについて
- 第4回:フィルターセクションについて
- 第5回:アンプセクションについて
- 第6回:エンベロープジェネレーターについて
- 第7回:LFOについて
- 第8回:エフェクトについて
- 第9回:その他の機能について
これまでもSpireの各コンテンツをご覧いただいている方には多少内容が重複する場合もありますが、復習を兼ねて今一度ご覧いただくのも良いかと思います。