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Inside Newfangled Audio vol.1

Finish It!曲を完成させるための5つの重要なヒント

「完成させたいのに、なぜか終わらない……」そんな音楽制作の悩みに、Newfangled Audioが実践的な5つのヒントを紹介。ファイル管理から“引き算”のアレンジ、リファレンス曲の活用まで、アイデアを1曲の形に仕上げるための考え方を、具体例を交えて解説します。制作途中のプロジェクトを抱えている人にこそ読んでほしい内容です。

あのスコーピオンも、このスネアにはお手上げ。

こんなプロジェクト名を見て、不安になることはありませんか?

New_WIP_MondayNight.als
Track 6 mixdown FINAL final2.logic
Afternoon Jam n9 demo3.ptx

曲を書き上げる。ビートにしっくりくるオートメーションを付ける。リリースに向けて、収録曲のミックスを揃える。あるいは、あの手ごわいスネアを今度こそ何とかする……。

「ああ、もう! とにかくこの曲を完成させたい!」そんな思いは、私たちにも覚えがあります。

そこで今回は、実際にプロジェクトを完成させるうえで役立ったヒントをご紹介します。ぜひ、皆さんの制作にも取り入れてみてください。

1. ファイル名を決めて、バージョンを整理する

いきなり地味な話ですが、音楽や映像の制作に携わるプロなら、その大切さをよく知っています。制作途中のファイルは、どのバージョンなのかがわかる名前を付け、整理して保存しておきましょう。

どのプロジェクトにも使える命名ルールを決めておくと便利です。たとえば、次の項目をこの順番で並べます。

曲名_日付_制作段階(スケッチ/トラック/ミックスダウン)_バージョン番号

実際のファイル名は、次のようになります。

My Track_3-28-20_Sketch_4

さらに、「no tambourine(タンバリンなし)」や「handclaps added(ハンドクラップ追加)」など、変更点も添えておくと、必要なバージョンをすぐに見つけられます。

最初は面倒に感じるかもしれません。でも、「先週作った、あの最高のミックスはどこだっけ?」となったときには、きっと整理しておいた自分に感謝するはずです。

Liveで実践する、Subtractive Editing

2. Subtractive Editing —— 不要な部分を削ぎ落として、曲にする

まず、その4小節に、思いつく限りのパートを重ねます。作っている音楽によっては、ブリッジやサビ用に別のループを用意してもいいでしょう。ただし、それは後回しでも構いません。

次に、重ねたパートをすべてまとめてコピーし、DAW上で3〜5分ほどになるまで繰り返し並べます。これで、ひとまず1曲分の長さができました。

DAWの広い空白を見ていると、ここを埋めて曲にするなんて、と途方に暮れてしまうことがあります。ところが、すでにあるパートを削っていく作業なら、ずっと取りかかりやすいものです。

たとえば、パーカッションをいったん抜いて、盛り上げたいところで戻す。ボーカルとキーボードだけの場面を作り、その後でドラムとギターを戻して、展開にドラマを生む。

これがSubtractive Editingです。先に音を並べておき、そこから引き算して曲を形にする。作業の順序を逆にして、曲作りに取りかかりやすくする方法です。

真っ白なキャンバスに絵を描くのではなく、石の塊から彫像を削り出すようなもの、と考えてみてください。

3. 削れるものは、思い切って削る

ファッションの世界には、「出かける前にアクセサリーをひとつ外す」という格言があります。音楽にも、こんな言葉があります。

曲の完成とは、もう何も足せない状態ではなく、これ以上何かを引くと物足りなくなる状態のこと。

もちろん、シンプルにすれば必ずうまくいくわけではありません。ストリングスを幾重にも重ねて、豪華に響かせたいことだってあります。

ただ、せっかくの面白いアイデアも、あれこれ付け足すうちに重たくなってしまいがちです。飾りを付けすぎて、その重みで倒れそうなクリスマスツリーのように。

まずは、余分なドラムや金属系のパーカッションを抜いてみましょう。ギターが3パートあるなら、1パートに絞ってみる。シンセのパートを減らして、ベースとメロディーをひとつずつにしてみる。ひとつのパートに両方の役割を持たせてもいいでしょう。

ミックスがまとまらなくなってきたら、処理も見直してみてください。各バスにはコンプレッサーを1台、マスターにはEQとリミッターだけ。そんなシンプルな構成を試してみるのもひとつの方法です。

こうして要素を減らすと、音楽の中にある「余白」の大切さにも気づけます。

数々の名盤が、限られた機材で作られてきたことを思い出してください。DAWで膨大な数のトラックやエフェクトを使えるからといって、いつもそれだけ必要とは限りません。

LogicでEQuivocateを使い、ミックスの周波数バランスをリファレンス曲に近づける

4. 好きな曲から、仕上げ方を学ぶ

皆さんの曲作りにも、きっとお気に入りの音楽から受けた影響があるはずです。その中から特に好きな1曲を選び、じっくり聴きながら、最初から最後まで、どこで何が起きているかを書き出してみましょう。

冒頭で鳴っているのは、どのパートでしょうか。ほかのパートは、どのタイミングで入ってきますか。ブリッジやmiddle eightと呼ばれる中間部はありますか。曲はぴたりと終わりますか。それとも、徐々に収束したり、フェードアウトしたりしますか。

もう一歩踏み込むなら、好きな曲を丸ごとカバーしてみてください。 自分で演奏できるパートをできる限り再現して、最初から最後まで仕上げてみましょう。

そうすれば、DAWで1曲を完成させる感覚がつかめます。曲の構成やミックスについても、多くの発見があるはずです。

EQuivocateは、メル尺度に基づいて帯域を分割したEQです。Match EQを使えば、個々のパートやバス、さらにはミックス全体の周波数バランスを、リファレンスとなる音源に近づけられます。

思いがけない結果が、いつの間にか身に付いたEQの使い方を見直すきっかけになるでしょう。

5. 仲間が、制作を前に進めてくれる

一人で音楽に向き合う時間は大切です。しかし、自分だけで作業を続けていると、判断に迷ったり、曲に区切りをつけられなくなったりすることもあります。

そんなときは、音楽仲間の力を借りてみましょう。

まずは、仲間を1人か2人誘い(ご家族でも構いません)、制作中の音源を定期的に送り合う約束をします。毎日でも、1日おきでも、週に一度でも構いません。無理なく続けられるペースを選んでください。

共有する音源は、最新のスケッチやミックスダウン、あるいはその途中段階のものでも大丈夫です。お互いの作品を聴き、感想やアドバイスを伝え合いましょう。

定期的に作品を見せる約束をすると、それが小さな締め切りになります。自分のためだけに作っているときとは違う、曲を仕上げる理由が生まれるのです。

さらに、自分では気づかなかった問題や魅力を、仲間の耳が教えてくれることもあります。信頼できる仲間と制作の過程を共有することが、止まっていた曲を完成へと前進させてくれるかもしれません。


本記事は、Newfangled Audio公式ブログの記事を、メーカーの許諾を得て日本語翻訳・編集したものです。